合法的手段を用いて相続税を節約しよう

まず、節税の第一歩はご自分がいくら財産を相続できるのか。また相続税をどれだけ納めなければならないのか?

正確な数字を把握する作業から始めましょう。これが出来たら情報を屈指して節税の方法を考えます。インターネットや国税庁のホームーページ等を利用すれば意外な節税情報が得られるはずです。かくいう私も国税庁サイドの人間ですので派手な節税のお勧めは出来ませんが、ひとつ面白い数字のマジックを紹介しましょう。

合法的な節税に「生前贈与の非課税枠」を利用する方法があります。年間110万円までの生前贈与には原則的に税金はかかりません。例えば申告の必要がある3601万円の財産がある人を想定しますと、年間110万円ずつ34年間贈与すれば相続時には1円も税金がかからない計算になります。

これは極端な例ですが、その他相続税の対策には生命保険を利用する方法、遺産分割を利用する方法、相続時の精算課税の特例を利用する方法など考えていけばいくらでもあるのです。富裕層の皆さん、これからは税務署との知恵比べです。節税を勝ち取る知的ゲームにあなたも参加してみませんか?


相続税の対策は生前から

生前から相続税の対策を講じて下さいと言うと、縁起でもないと立腹される方もおられるかも知れませんが、これは大変大切なことです。

Ⅳの中で遺産分割による節税方法を紹介しましたが、基本的に遺産分割協議を済ませていれば、配偶者たる故人の妻は相続税の軽減措置を受けることができます。しかし、遺言(いごん)もなく遺産分けで裁判が起きてしまうと遺産分割ができなくなり軽減が受けられなくなります。この特例は相続開始から10ヶ月以内でなければ適用されない厳しいものですし、1億6000万円までは相続税がかからない魅力的な措置です。

故人が出てしまってから「相続税をどうしよう」と考えてももう手遅れなのです。不要な争いを防ぎ効果的な節税を履行するためにも、法的効力を持つ遺言書(いごんしょ)の作成をお勧めします。

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