(写真=PIXTA)
結果の概要:実質個人消費支出は予想を下回ったものの、前月から伸びが加速
8月28日、米商務省の経済分析局(BEA)は7月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は、前月比+0.4%(前月:+0.4%)となり、前月と同水準、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.4%にも一致した。一方、個人消費支出(名目値)は、前月比+0.3%(前月改定値:+0.3%)と、前月と同水準、市場予想の+0.4%は下回った(図表1)。
また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出は、前月比+0.2%(前月:横這い)となり市場予想の+0.3%は下回ったものの、前月からは伸びが加速した(図表5)。
貯蓄率1は4.9%(前月改定値:4.7%)と前月から0.2%ポイント上昇した。価格指数は、総合指数が前月比+0.1%(前月値:+0.2%)と市場予想(+0.1%)に一致したものの、前月から低下した。
また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.1%(前月+0.1%)と、こちらは前月および市場予想(+0.1%)に一致した(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+0.3%(前月:+0.3%)、コア指数が+1.2%(前月改定値:+1.3%)となった(図表7)。
結果の評価:物価面からFRBの早期利上げを正当化するのは難しい
7月の個人消費支出(前月比)は、15年2月以来の低い伸びとなった前月からは加速したものの、個人所得の底堅い伸びに比べて低調となった。この結果、貯蓄率は2ヵ月連続での上昇となり、消費は所得との対比で余力を残した状況が続いている。
一方、価格指数は、総合指数、コア指数ともに前月比ではプラスを維持しているものの、物価上昇圧力が高まっている状況ではない。さらに、前年同月比でみても、総合指数の低い伸びが持続している。原油価格は15年に入って安定する兆しもみせていたため、総合指数ではエネルギー価格の下落に伴う下押し圧力が緩和されるとみられた。
しかしながら、6月に60ドル近辺であった原油価格は、足元は40ドル近辺まで低下するなど、再び下落基調が強まっており、エネルギー関連の物価下押し圧力は当面持続するとみられる。さらに、14年12月以降下げ止まっていたコア指数も小幅ながら低下しており、FRBが目標とする2%の達成に向けた動きはみられない。物価面からはFRBによる早期利上げを正当化するのは難しいだろう。