所得動向:賃金・給与の伸びが加速

個人所得の内訳をみると、6月に大幅に伸びた利息・配当収入が前月比横這い(前月:+0.9%)と前月の反動もあって伸びが鈍化する一方、7月は賃金・給与が前月比+0.5%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速し、所得増加に寄与した(図表2)。

次に、個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.5%(前月改定値:+0.4%)と前月から伸びが加速したほか、価格変動の影響を除いた実質ベースでは+0.4%(前月:+0.2%)と15年1月以来の伸びとなるなど、所得環境は引き続き底堅い状況が持続している(図表3)。

名目個人所得(前月比寄与度)


消費動向:耐久財は全般的に増加

次に、個人消費の内訳をみると、財のうち、耐久財が前月比+1.1%(前月:▲1.1%)、非耐久財が+0.2%(前月:+0.5%)となったほか、サービスが+0.2%(前月:+0.4%)となった。

サービスと非耐久財は前月から伸びが鈍化したものの、耐久財は自動車・自動車部品が+2.5%(前月:▲2.9%)と、前月から大幅に増加したほか、家具・家電が+0.5%(前月:▲0.3%)、娯楽財等も+0.8%(前月:▲0.5%)となるなど、全般的に前月のマイナスからプラスに転じた。

名目個人消費(前月比寄与度)


価格指数:エネルギー関連の上昇圧力は低下

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が+0.1%(前月:+1.8%)とプラス幅がさらに縮小した(図表6)。

エネルギー価格指数は、15年1月の▲10.3%を底に安定する動きがみられていたが、8月に原油価格の下落が加速したため、来月以降再びマイナスに転じるとみられる。一方、食料品価格指数は+0.2%(前月:+0.3%)とこちらは2ヵ月連続のプラスとなった。

最後に前年同月比では、エネルギー価格指数は▲15.7%(前月:▲15.9%)と、前月からマイナス幅は縮小したものの、依然として2桁のマイナスが持続している(図表7)。

前述の原油価格の動向を踏まえると、この傾向は当面続くとみられる。一方、食料品価格指数は、+0.9%(前月:+1.0%)となった。

PCE価格指数(前月比)

(*1)可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。

窪谷浩
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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