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(写真=PIXTA)


製造業、非製造業ともに大幅増益

財務省が9月1日に公表した法人企業統計によると、15年4-6月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比23.8%と14四半期連続で増加し、1-3月期の同0.4%から伸びが大きく加速した。

経常利益の推移

製造業(1-3月期:前年比▲1.3%→4-6月期:同29.6%)、非製造業(1-3月期:前年比1.2%→4-6月期:同20.8%)ともに前年比で20%台の大幅増益となった。製造業は大幅な円安にもかかわらず輸出数量が減少したことから売上高は前年比1.2%(1-3月期:同▲3.9%)と伸び悩んだが、売上高経常利益率が14年4-6月期の6.0%から7.7%へと大きく改善したことが大幅増益につながった。

製造業の売上高経常利益率(前年差)を要因分解すると、原油価格下落の効果から変動費要因が利益率を前年差1.3ポイントと大きく押し上げた。また、人件費が前年比0.4%と5四半期ぶりの増加となったが、売上高の伸びを下回ったため人件費要因も収益率を若干押し上げた(前年差0.1ポイント)。

売上高経常利益率の要因

非製造業は個人消費の低迷から卸売・小売業が前年比▲1.0%の減少となるなど、売上高は前年比1.1%(1-3月期:同0.9%)と低調だったが、売上高経常利益率が14年4-6月期の4.9%から5.8%へと改善したことが収益を押し上げた。非製造業の売上高経常利益率(前年差)を要因分解すると、製造業と同様に変動費要因が利益率を前年差1.1ポイント大きく押し上げた。

一方、人件費は前年比1.7%と5四半期連続で増加し売上高の伸びを上回ったため、人件費要因は小幅ながら利益率の押し下げ要因(前年差▲0.1ポイント)となった。

経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業は円安、原油安の効果が重なったことから、はん用機械(前年比48.5%)、業務用機械(同25.0%)、情報通信機械(同67.4%)、輸送用機械(同13.6%)など軒並み前年比で二桁増となった。

非製造業では、物品賃貸業(前年比2.8%)、サービス業(同8.1%)は前年比で一桁の伸びにとどまったが、建設業(前年比154.6%)が急増したほか、卸売・小売業(同11.7%)、不動産業(同26.4%)なども二桁増益となった。

季節調整済の経常利益は前期比14.8%(1-3月期:同▲4.1%)と2四半期ぶりの増加となり、13年4-6月期以来の前期比二桁の高い伸びとなった。製造業が前期比23.8%(1-3月期:同▲18.6%)、非製造業が前期比10.3%(1-3月期:同5.3%)であった。

15年4-6月期の経常利益(季節調整値)は19.2兆円となり過去最高だった14年10-12月期(17.5兆円)を大きく上回った。非製造業が過去最高水準の更新を続ける一方、製造業はリーマン・ショック前のピーク時を超えられずにいたが、15年4-6月期の大幅増益により07年4-6月期を小幅ながら上回り、過去最高水準を更新した。

経常利益(季節調整値)の推移