カジュアル衣料ブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング <9983> が9月2日、日本国内のユニクロ事業の2015年8月期の月次売上推移を公表した。圧倒的な強さを見せながら、大手コンビニなどを運営するセブン&アイ・ホールディングス <3382> との強者同士の提携の動きを見せる一方で、「ブラック企業」との批判もなかなか収まりそうにはない。

その中で、ユニクロが敢行した値上げの、影響がこのほど公開された月次売上の推移にも顕著に表れている様子だが、結果はどうだったのか。今回は、ユニクロの昨期の月次売上推移から、値上げは成功だと言えるのか、みてみたい。


「失敗ではなかった」の7月値上げ

日本国内のユニクロ事業の売上が今夏、落ち込んでいた。ファーストリテイリングが公表した月次売上表によれば、2015年6月の既存店での売り上げは前年比で88.3%にまで落ち込んだ。続く7月も、ユニクロ事業既存店での売り上げは、前年比98.5%と前年の実績を下回っていたのだ。

ファーストリテイリング自身の見解によれば、「6月は気温が例年に比べ低かったことから、夏物実需商品が苦戦し、既存店売上高は前年を下回った」という。さらに、同社は、7月についても、梅雨の影響で気温も低く、夏物衣料の販売で苦戦。既存店売上も前年の実績に届かなかった格好だ。

ただ、国内ユニクロ事業にも8月、回復の兆しが見えた様子で、同社の月次売上推移でも、既存店ベースで、前年実績を上回る売上を記録。ユニクロは既存店の売上高で、前年比102.5%という成果を残した。また、7月発売分の製品から値上げをした影響もあるのか、6~8月期もユニクロの客単価は前年を上回った。8月には8%の伸びを示しており、ユニクロ製品の値上げもひとまず、失敗ではなかったと言えそうだ。「成功」と言えるかどうかは、今期の成果で決まりそうだ。


唯一の弱点は「ブラック企業」イメージか?

他方で、ファーストリテイリングの国内ユニクロ事業そのものの業績は2015年8月期の第3四半期まで一貫して好調だったことも事実だ。売上収益は1~3四半期いずれも2ケタ増を記録している上に、営業収益でも一貫して、前年同期比で20%以上の伸びを示してきた。

ユニクロ事業の実績を列挙すれば、第1四半期には、売上収益が2326億円と前年同期比で同11.6%増。同期の営業利益は511億円となり、 21.3%の増加を示した格好だ。続く第2四半期も、売上収益は4545億円と、前年同期比で12.1%増。営業利益は894億円(前年同期比24.7%増)だ。さらに、第3四半期は、売上収益は6381億円(同12.0%増)、営業利益は1137億円 (同21.6%増)となっており、いずれも好調だ。

さらに、ファーストリテイリングは国内事業の今後の展開についても、着々と手を打っている様子だ。というのも、8月上旬に、冒頭でも言及したファーストリテイリングとセブン&アイ・ホールディングスが業務提携を検討していることが明るみに出て、カジュアル衣料大手とコンビニ大手による提携検討ということから、耳目を集めた。

さらに、2015年8月期の月次売上推移表公開に先立つ9月1日、ファーストリテイリングは、インターネットなどITの活用を推進するための新会社を、アクセンチュアと合弁で設立。販売網の整備も進めており、より効率的な事業展開を目指している格好だ。一見すれば、スキのないように見えるファーストリテイリングだが、アキレス腱になりそうなのは「ブラック企業」とのイメージだけだろうか。(ZUU online 編集部)

【関連記事】
ベッカムがジョーダン超え?世界で最も収入が多い「引退したスポーツ選手」ベスト10
人類史上長者1位は誰?「現役」からはビル・ゲイツ氏が9位にランクイン
なぜ、今「赤色」が人気なのか?景気と色のおもしろい関係
日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
10位でも1億円?世界一高いスーパーカーランキング【2015年版】