米国が9月利上げをするかしないかが、現在大きな関心となっている。中国ショックとも言うべき8月の世界同時株安を経験した現在、米国9月利上げを予想する市場関係者の割合はそれまでの5割から2割へと激減している。
29日、米国ジャクソンホールでイエレンFRB議長に近いとされるフィシャーFRB副議長が、「利上げの結論は出ていない。中国経済をいつも以上に注視している」というコメントを出している。また、ローレンス・サマーズ元財務長官は利上げについて警戒的なコメントを出した。
そこで注目されているのが、9月4日発表の8月雇用統計だ。非農業者就業人数予想は22万人だが、焦点は賃金上昇に移っている。
9月相場は荒れるという経験則もあるが、8月でその荒れる相場を前倒しで経験して、9月相場が安定から上昇に転じるのか、あるいはリーマン前のように、8月を一段下げ、9月相場はさらに荒れ、二段下げとなって8月安値を更新し、日本市場も連れ安で暴落するのか、大きく見方が分かれる。
そこで、過去の米国利上げが日本にどう影響したのかを検証し、日本にとってのベスト・シナリオについて考えてみたい。
過去の利上げ局面を考える
過去米国利上げがあった、1994年、1999年、2004年はどうだったのであろうか。
1994年2月の利上げ時は、NYダウ平均株価は1年間で約8%の調整となり、その後利上げ前約150%以上上昇。その間の日本は2月から3月安値まで約7%の調整となった。
1999年の利上げ時は、直後に上昇し、その後もITバブルと言われるまで大きく上昇した。日本の株式市場もその影響で上昇した。
2004年の利上げでは、直後2カ月程で7%程度の調整、その後は大幅上昇して、リーマンショック前まで大きく上昇した。
もちろんその後の景気動向、世界のマクロ状況によって大きく違うが、過去の米国株式市場はおおむね、利上げ後7~8%程度の下落から大幅上昇していた。
リーマンショックの超金融緩和で過去の相場とは違う可能性もあるが、利上げは基本的に景気上昇が背景にあることを認識したい。