(写真=PIXTA)
はじめに
今年から、政策保有株式として上場株式を保有する場合、一定の条件を満たす上場会社はその方針を開示する必要がある。また、主要な政策保有については中長期的経済合理性や将来見通しを検証し、検証結果を説明することが求められる。更に、支配関係を目的としない保有株式から生ずる『配当収益等の益金不算入制度』が見直される兆しもある。これらを背景に、政策保有株式の更なる削減が予想される。
では、政策保有株式の減少は、企業の資金調達、合併・事業譲渡・譲受等の行動、更には、行動の結果としての利益率並びに剰余金処分の方法等に変化をもたらすだろうか。
そこで、様々な行動やその結果と持合比率(*1)(企業が相互に株式を保有し合う関係にある企業が保有する株式が発行済み株式数に占める割合)との関係について確認した。2回に分けて、その結果と政策保有株式の減少がもたらす影響予想を報告する。今回は、資金調達行動と事業再編について報告する。
データの概要
今回の分析は、弊社が算出する企業別の持合比率(2014年3月時点)を用いた。弊社では全上場企業を対象に持合比率の算出を実施しているが、一部上場企業(東証、名証)のみを対象とした。一部上場企業(いわゆる、大企業)は、それ以外の企業に比べて持合比率が高い傾向がある(図表-1)。
一部上場企業のみ分析対象としたのは、企業規模の違いから生じる差を持合比率の違いから生じる差と見誤る可能性を排除する為である。なお、2014年3月以降に合併し消滅したなどを理由に、分析対象外とした銘柄もある。
今回は、一部上場企業の約15%を占める持合比率20%以上の企業とそれ以外の一部上場企業に分けて分析している。