「村上ファンド」と呼ばれるが「ファンド」ではない

C&I ホールディングスなど一連のグループは、報道では「ファンド」と呼ばれるが、いわゆるファンド、第三者から調達した資金を運用する金融機関ではない。

金融庁が公表している金融商品取引業者、適格機関投資家等特例業者などの一覧表にも同社の名前は見当たらない。関東財務局に提出されている大量保有報告書及び変更報告書をみても、同社を始めとするグループ内の投資家は、自己資金かそれに準ずるグループ企業からの借入金で投資を行っており、投資運用業に該当する組合出資等による資金調達は実施していない。

同社のホームページは極めて簡素で、会社概要の掲載もない。ただ非上場の一般事業法人であり、開示義務のある情報は商業登記簿、決算公告などに限られる。この意味でも、秘密主義を貫く上で最適な形態と言えるだろう。

新生村上ファンドは、旧ファンド以上に規制研究を深め、自分たちがやりたいように動ける組織体制の構築にこだわったようである。

ただ外部資金に頼らない新生村上ファンドには、機動的かつ大量に資金調達できないという弱点がある。黒田電気の経営陣も、村上ファンド・グループが発行済株式総数の過半数を取得できるだけの自己資金を有していないと読んだ可能性もある。

いずれにせよ自己資金での投資を前提とする限り、村上ファンドが投資できる銘柄は、ある程度絞られるのかもしれない。

同じビルに入居する“パートナー”企業

村上氏一家が多額の資産を有していることは間違いないだろうが、大きな取引を行う際には援軍に頼りたくなるはずだ。現在、村上ファンドの支援者と目されるのがワンルーム・マンションなどの分譲を手掛けるシティインデックスである。

同社とC&I ホールディングスは同じビルに入居している。また元村上ファンドの広報担当だった三浦恵美氏が率いる投資会社レノなどとともに、昨年、アコーディア・ゴルフに対して臨時株主総会の招集を請求するなど、行動をともにしている。招集の目的は、社外取締役の解任と、三浦氏ほかレノグループ各社の役職員5人の新社外取締役選任だった。

いずれにせよ、今後は村上ファンドだけでなくレノ、シティインデックスの動きに注目する必要がありそうだ。(ZUU online 編集部)