今週の主な経済指標

◆9月13日 固定資産投資(前年比) 1-8月 +10.9% 市場予想 +11.2%、前回 +11.2%

1~8月の固定資産投資額は前年比10.9%増と、伸び率は1~7月(11.2%増)から鈍化し、2000年通年(9.7%増)以来の低い水準となりました。内訳をみると、8月の不動産投資の減速が引き続き鮮明となったほか、建設業投資の伸び率も前月から鈍化しています。

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◆9月13日 鉱工業生産(前年比) 8月 +6.1% 市場予想 +6.3%、前回 +6.0%

8月の鉱工業生産は前年比6.1%増と、市場予想の6.3%増に届かなかったものの前回の6.0%増より小幅な改善がみられました。中国国内外の需給が依然として弱いのが鈍化し続けてきた理由だと考えられますが、抗日戦勝記念式典のため北京周辺の生産を一時停止した影響もあり、9月の鉱工業生産はリバウンドが期待できそうです。

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マーケットビュー

◆中国株 まちまちな経済指標を受けて神経質な展開か FOMCの政策発表に注目

本土市場は上海総合指数が週間で1.3%高と4週ぶりに反発しました。株価下支え観測を背景に上昇していた銀行株や保険株を中心に利益確定売りが膨らみ、上海総合指数は売り先行となったものの、翌8日には節目の3,000ポイントを前に底堅さをみせると中国人民銀行による資金供給が好感され急反発しました。

9日も当局の積極的な財政政策を受けて続伸した上海総合指数ですが、10日に弱い物価統計が嫌気され反落すると、週末は13日の経済指標の発表を控えて様子見となりました。

13日に発表された8月の経済指標は、小売売上高こそ市場予想を上回ったものの、固定資産投資や鉱工業生産が市場予想に届きませんでした。そのため今週の上海市場は政策期待の買いが期待される一方で、経済減速を懸念する売りも出やすいといえます。

こうしたなかで「場外配資」と呼ばれる信用取引の規制化を背景に投資家心理が依然として弱気に傾いていることもあり、上値は限定的となりそうです。

香港市場ではハンセン指数が8週間ぶりに反発しました。週明け7日は米利上げに対する警戒感から続落し、約2年2カ月ぶりの安値を付けました。しかし、8日と9日は中国政府が公共インフラ投資の拡大で成長を支えるとの観測や、中国財政部が経済成長の目標達成に向けて積極的な財政措置を実施すると表明したことが好感され大きく上昇しました。

10日に8月のPPIが市場予想を下回ったことで景気減速懸念が強まって反落すると11日も小幅続落となったものの、ハンセン指数は週間で3.2%高となっています。

先週末の米国市場の上昇を受けて今週のハンセン指数は買い先行でのスタートが予想されますが、16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとして様子見になりやすいといえます。そうしたなかで今週の香港市場は中国当局の政策や本土市場の動きを睨みながらの展開となりそうです。

林宇川(TonyLin)
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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