西武 IPO

こんにちは。今回は明日(4/23)付で東証第一部に上場する西武HD(ホールディングス/9024)についての情報をお届けします。内容としては大きく①事業内容、②上場廃止から再上場に至るまでの簡単な経緯、③公開価格の評価、④上場後の展望、に分けてお伝えします。

参考: 4月に上場が決まった西武ホールディングスの投資対象としての評価は?


事業内容

まず、西武HDの事業内容について簡単にレビューしておきますと、同社の事業セグメントは6つに大別できます。

メイン事業は「都市交通・沿線事業」(西武鉄道やその沿線のバス・タクシーなどの運行、「西武園ゆうえんち」や「としまえん」などの遊園地およびスポーツ施設の運営)、「ホテル・レジャー事業」(シティホテル13カ所、リゾートホテル27カ所、ゴルフ場国内28コース。レジャー施設は国内9カ所のスキー場や、「箱根園」、「横浜・八景島シーパラダイス」など)、そして「建設事業」(公共工事や鉄道関連の土木工事、マンション施工などの建築工事、および土木建築用原材料の生産・加工販売、造園工事の設計・管理など)です。

この他にも「不動産事業」(駅構内や高架下の店舗、駅ビルに関連する施設の賃貸事業や、アウトレットモールの運営など。)や「ハワイ事業」(米国ハワイ州でのホテルやゴルフ場などの運営)、および「その他事業」(伊豆箱根鉄道や近江鉄道の運営、プロ野球球団「埼玉西武ライオンズ」の運営など)といったセグメントをかかえています。

ちなみに、池袋に本店を構える西武百貨店は西武HDではなく株式会社そごう・西武という別会社の運営である点に注意が必要です。大手私鉄の中では唯一自社グループ内に百貨店などの流通系商業店を持っていませんが、これは創業者の跡継ぎ争いにより鉄道部門と流通部門に分裂してしまったためです。

財務上の特徴としては、同社の資産のうち実に53%(2013年末時点)を占める土地比率の高さがあげられます。西武グループの事業は箱根の観光地開発から始まり、鉄道事業には買収によって参入しましたが、その過程で戦後の没落貴族から土地を買い占めるなど他社に先駆けて土地の買収を行い、現在のような土地比率の値になりました。もともとホテル・レジャー事業や不動産業といった土地保有の多い業態ではあるものの、同業の値が30~40%という中では、西武は突出していると言えるでしょう。

ただし、土地比率とEV/EBITDA倍率とはほとんど無関係であり、昨年の異次元緩和直後のような不動産相場は別として、今回は材料としては無視されたものとみられます。なお、公表されている賃貸不動産の含み益については、13年3月末時点で670億円、1株当たり195.96円となっています。

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上場廃止から再上場への大まかな経緯

今回の再上場に至った経緯も大まかに確認しておきましょう。西武鉄道は1957年の東証一部上場から2006年2月の西武グループ再構築に至るまで、堤家が株式の多くを保有する同族会社でした。しかし2004年に総会屋利益供与事件、有価証券報告書の虚偽記載による証券取引法違反事件などが相次いで発覚し、上場廃止。これ以後は株式問題と並行して、グループの再構築を進めてきました。この過程で西武鉄道が兄弟会社のプリンスホテルの子会社となるなどの再編および資本の再構成が行われ、2006年に持ち株会社として西武ホールディングスが誕生しました。
今回問題となった外資系ファンド・サーベラスとの関係は2005年にまで遡ります。信用失墜で倒産の危機にあった西武が増資を募ったのが05年11月。サーベラスは、この増資の入札に応じた27社の中から選ばれました。選ばれた決め手は、公益性の高い鉄道事業への理解を示し、株式の過半を取らないスタンスを明確にしたこと。最終的には、計1100億円分の株式を引き受け、32.4%の株式を握る筆頭株主となりました。当初は二人三脚で再建を進めてきた両者でしたが,2010年頃からサーベラスによる上場圧力がかかります。一説にはサーベラスからクライスラーへの巨額投資の失敗による経営不安が背景にあったとも言われています。それ以来サーベラスは株主提案において大規模なリストラを提案するなど強硬的態度を強め、昨年4月の敵対的TOBに至ったという流れです。

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