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ついに始まった消費税8%

2014年4月1日に消費税は8%に引き上げられました。3月29日、30日の土日は最後の駆け込みでスーパーマーケットや百貨店など多くのお店が人で溢れておりました。3%のインパクトは結構大きいものです。スーパーマーケットなどでお得感が感じられる価格設定、例えば198円や298円と言った商品は実質的な値下げに追い込まれたり、量を減らして対応したりと、企業の苦悩ぶりが見受けられます。

2015年10月1日にはさらに10%に消費税が引き上げられます。増税のインパクトが消えないうちに再び消費税が上がるわけです。短期間におけるこの2回の増税をどう切り抜けるか、企業の努力はこれからみられることでしょう。ただ、いくら努力してもなかなか増税のインパクトをやわらげられない業界もあるのではないでしょうか。

今回は、増税によって苦戦が予想される業界を取り上げてみました。


(1)高価格帯商品を販売している業界は苦戦が予想される

3%のインパクトをじっくりと考えてみましょう。本体価格100円のものは消費税が5%から8%になることで、支払額が3円増えるわけです。こう見るとそれほどのインパクトではないかもしれません。しかし、金額が100万円、1000万円となるとどうでしょうか。それぞれ3万円、30万円も余計に支払わなくてはならないことになります。となれば、支払額が増える前に買っておこうと考えるのが消費者心理というものです。

今回、4月に入る前にこの現象が起きたというわけです。購入回数が少なく、金額が大きいものほど、駆け込み需要の反動減は容易に予想されます。政府は反動減を少しでも和らげようと、増税分を打ち消すような対策を取ってはいますが、この成果は今のところ未知数です。投資においても、これからの消費者の動向には注目していく必要があるでしょう。


(2)マンション業界

消費増税により最も容易に苦戦が予想される業界がマンション業界ではないでしょうか。2014年3月までの販売戸数が絶好調なだけに反動減が気になるところです。

国としては、消費税増税による需要減退を和らげるために住宅ローン控除の制度の見直しを行っています。平成26年4月から平成29年12月までに居住を開始する場合には「借入等の年末残高の限度額」を長期優良住宅の場合には前年度の3000万円から5000万円までに、一般住宅の場合には2000万円から4000万円に引き上げました。これにより税額控除額がそれぞれ最高30万円から50万円まで、20万円から40万円にまで引き上げられています 。

しかし、不動産については増税分の帳尻を合わせればよいというものでもなりません。アベノミクスによりインフレーションが予想される中、のんびり待ってもいられないのです。そのため、「増税前に、インフレ前に」という2つの焦燥感が一時的な需要増を煽っていた可能性もあります。居住用の不動産は何度も購入するものではないがゆえに、需要の先食いをするとしばらく低迷し続ける可能性があります。