(3)自動車業界

マイホームの次に高い買い物としてしばしば挙げられるのが自動車です。自動車業界は若者の自動車離れが進んでいる中での増税を迎えており、ダブルパンチによる今後の苦戦が予想されます。しかも、自動車は購入時の支払いだけではありません。その後、ガソリンを購入したり、駐車場代を払ったり、メンテナンスをしたりと、何かにつけてランニングコストがかかります。これらのほとんどに消費税が影響するわけですから、増税を機に車を手放すという動きが出てもおかしくはありません。

自動車業界においては、マンション等居住用住宅のような駆け込み需要というよりも、増税後の所有欲の減退という部分が大きく影響してくると考えられます。8%への増税を乗り切ったとしてもその後の10%の増税の際にどのようになるのかというところまで見ておく必要があるでしょう。


(4)家電業界

マンションや自動車に比べて、比較的駆け込み需要的要素が強いものが家電です。しかも、手の届きやすい価格帯ですから、もう少し使えると思えるものでも、増税前に買っておこうという気持ちになりやすかったのではないでしょうか。

家電業界に駆け込み需要後の低迷は、近いところでエコポイントが行われた際が記憶に新しいのではないでしょうか。エコポイントにより、好業績をたたき出した大手家電量販店は、その後、需要の減退と通販の急拡大により、大きく業績を落としました。

家電量販店のような業態は付加価値を付けることがなかなか難しいため、消費者の需要が戻ってくるまでなんとか踏ん張っているという守りの姿勢しかないように思えます。10%に消費税が引き上げられる際に、もう一度駆け込みはあると思いますが、短期間での増税なだけに大きなインパクトはないと推測されます。


苦戦はいつまで続くのか?

日用品や食料品のような消費財と異なり、一度購入してしまうとその後の需要回復まで時間がかかる高価格帯の業界は苦戦をなかなか抜け出せないのではないでしょうか。但し、投資をする際に気を付けるべきことは、消費税の増税は日本国内の話であるということです。

つまり、世界全体が一斉に消費税増税を行っているわけではないということです。すなわち、日本における需要減退分を世界で補えるような事業展開をしていく企業はこの苦戦を比較的早く乗り切ることができるのではないでしょうか。

そういった意味では自動車業界は世界での販売台数に注目したいところです。一方、マンションや家電量販店など、国内の需要に頼らなければらない業界においては、しばらく苦戦が続くものと考えられます。

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