(写真=HPより)

中国人は中国人を信用していない

中国人は自由である。日本人のようにどこにいても何をするにしても、「そこには一定の規則やルールがあるはずだ」という堅苦しい考えはない。組織内においても、ボスに忠誠さえ誓えば、業務上とても大きな自由裁量を得られる。つまり中国人は、個人も組織もあらゆる場面で好き勝手をやっている。それを止めるには、権力による強制しかない。

当然、偽物作りなど悪いとも何とも思っていない。模倣の世界王者と言われることも否定しない。ただし自らの利益に関わる場合、だまされることには我慢できない。中国の商売は自己責任である。だまされる買い手が悪い。だます売り手にもためらいはない。

こうした風土の中、本音のところでは中国人は中国人を信用していない。

中国人も偽物では物足りなくなってきた

かつて偽物市場は全盛を誇った。大都市の商業は偽物街を中心に回っている感さえあった。日本人旅行者、出張者たちも面白がって群がり、売り上げに貢献した。

また「外貿服装」と銘打った店も繁盛した。これは日本・欧米向け輸出衣料・雑貨品の横流し店である。工場直営の店すらあった。一応本物であるだけに商品好感度はまあまあで、形成中だった中産階級に一定の支持を得ていた。

ところがここ10年で形勢は大きく変わり、もう偽物や半端物では物足りなくなってきた。消費者の本物(ブランド)志向は強まっていた。

もう一つ、本物志向を準備した流れがある。1990年代半ば以降、外資系スーパーや百貨店の進出が加速し、店の信用に基づく定価販売が浸透したことだ。カルフール(仏)、テスコ(英)、ウォルマート(米)、メトロ(独)、パークソン(マレーシア)、日系では、 イオン <8267>  セブン&アイHD(イトーヨーカドー) <3382> 平和堂 <8276> などである。