ユニクロ、無印、H&Mなどに遅れたGAPやForever21、しまむら
(写真=HPより)
こうした土壌が形成された2005〜2007年にかけて、有力専門店の上陸が一斉に始まった。日本のファーストリテイリング(ユニクロ)<9983>、良品計画(無印良品)<7453>、ヨーロッパのZARA、H&Mという面々である。
この進出時期が大きなポイントとなる。経済成長の絶頂期であったことに加え、08年のリーマンショック後の4兆元の緊急経済対策で09年に地価が大幅に上昇。ショッピングセンター(SC)建設ブームが加速していたからだ。消費が盛り上がっているときに舞い降りてきた外国ブランドであり、売られている商品は当然、偽物ではない。ファストファッションとはいえステータスもある。瞬く間に市民権を得た。
そして09年以降、テナントソーシングの要としてひっぱりだことなった。それに伴い店舗網は急拡大した。
これに対して2010年以降に初進出したGAPとフォーエバー21のアメリカ勢や、しまむら <8227> は、一番いい時期を逸し、二番煎じとなってしまった。ブランド認知は進んでいない。GAPはセカンドブランドの「オールドネイビー」に、フォーエバー21は実店舗よりネット通販に力を入れていくようである。このように進出時期08〜09年を境にくっきり明暗が分かれた。
商品が良いからウケたという訳でもない?
ユニクロは2002年ごろ中国進出に一度失敗している。中国専用にした低価格の品ぞろえが受け入れられなかったからである。05年から日本標準でやり直して成功した。無印良品は、まがい物の氾らんや商標登録で苦労を重ねた。
こうした苦い経験や優れたチェーンオペレーションも成功の一因だろうが、決定的な要因は、中国人のブランド信仰にタイミングよくアピールできたことに尽きる。商品の良し悪しは二の次であった。実際、H&Mや無印良品のアウター衣料など、良く見ればその辺の中国企業の商品と大差ない。
単に外国ブランドというだけなのであるが、それが商品より大切だった。中国人の中国不信と外国ブランドへの信仰は、まったく衰えを見せていない。ユニクロと無印良品は、最も良い時期にこの流れに乗った。
独自の秘訣や秘密のノウハウは実は何もなかったのである。ただ時期だけが成功のポイントだった。ビジネスにとっていかに“天の時”が大切かの好例である。
今後、このような絶好のタイミングが再び訪れるとは考えにくい。今後の新規ブランドの進出は、ネット通販を中心により地味なものになっていくだろう。 (ZUU online 編集部)