予想的中率は、まだら模様

さて、そのガンドラック氏が2015年初頭に放った今年の経済予測の中心的テーマは、「原油安が米経済と世界経済を左右する」で、そのシナリオは以下のようなものだった。

  • 原油安は米国の賃金上昇圧力の下押し要因として働くだけでなく、物価上昇率がマイナスになり、名目債(物価変動に連動しない債券)は需要が高まる
  • 米国内総生産(GDP)は原油安の恩恵で0.7ポイント押し上げられるが、通年で成長率が3%を超えることはない
  • FRBは2015年に利上げを行うが、米長期債利回りは逆に低下して、イールドカーブ(債権利回りの変化グラフ)はフラット化する
  • 米ドルは上昇し続け、米国債の魅力をさらに増す。一方、米株式市場は「7年周期説」によれば、楽観できず、マージンデット(証拠金債務)も弱気と見る

これらについて現時点で答え合わせをしてみると、米経済成長率の通年値はまだ分からないが、1-3月期の国内総生産(GDP)確定値がマイナス0.2%、4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は前期比年率3.7%増、7-9月期の市場予想値が2.4%と、「通年で3%を超えない」から外れていない。他方、米インフレ率は依然として低いものの、マイナス圏には入っていない。原油安は米経済と世界経済に少なくない影響をもたらしたが、ガンドラック氏が予想したような規模ではなかった。

むしろ、最も大きなショックは中国経済の減速だった。彼の年初の予測には、出てこなかった要素である。米10年国債利回りは、2015年1月末の1.6%から5月末には2.1%と、約0.5ポイント上昇するなどした後、9月のFOMC発表前の2.26%から2.23%前後へ下げるなど、ガンドラック氏の予想からは幾分外れた動きを見せている。一方、彼の米株式市場の弱気説は、8月の中国ショック以来、当たっている。

こうして見ると、ガンドラック氏の2015年の「予言」の的中率は、まだら模様だ。過去には、大外れもやらかしている。2013年初頭に、米10年国債利回りが2.35%で上げ止まると予想したが、同年5月のいわゆるバーナンキ・ショックで3%まで急上昇したのが好例だ。それでも全体的に見れば、他の予想に比べ、かなり当たっている。これからも、ガンドラック氏からは目が離せない。(在米ジャーナリスト 岩田太郎)