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(写真=PIXTA)

今年1月の相続税増税により、相続税に対する関心が高まっている。もし相続について相談するのであれば、最初に足を運ぶのは税理士事務所だろう。しかし、実際に接してみると税理士でも相続に詳しい人とそうでない人がいることがわかる。中には相続税をまったく知らず、相続税に一生関わらずに仕事をこなす税理士もいるため、税理士を見極めることが大切になる。

そもそもなぜ、相続に詳しくない税理士がいるのだろう。おおまかに2点の理由が挙げられる。


理由①税理士になるための3つのルート

一つ目の大きな要因は、税理士になるまでの過程にある。税理士の資格を取得するには、次の3つのルートが存在し、いずれのルートをたどっても、相続税を知らずに税理士になることが可能なのである。


1. 税務署OB

税理士のうち、全体の3分の1から半分は税務署OBであると言われている。一定の条件の下、所定の年数で税務署に勤務していれば、税理士資格が取得できたり、税法科目が免除になったりするためだ。

税務署職員というと、すべての税法に精通していると思うかもしれないが、実際には法人税なら法人税、所得税なら所得税…という具合に、一つの税法に長く携わることが多い。結果、相続税を担当したことがないならば、当然相続税にあまり精通しないことになる。そのため、退職後に税理士になったとしても、相続税に詳しくない人も出てくるのだ。


2.試験組

税理士になる手段としてもっとも世間で認知されているのが試験組である。法学部もしくは経済学部卒業、簿記検定1級合格など一定の受験要件を満たしていれば、誰でも受験ができる。受験科目は次の通り。
・必須科目(すべて合格していなければならない科目)…簿記論及び財務諸表論
・選択必須科目(どちらか1科目を合格しなければならない科目。両方合格してもよい)…法人税法または所得税法
・選択科目(2科目以上を選択。上記を含めて全体で5科目合格すればよい)…相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、地方税法(住民税、固定資産税、事業税)

このように、相続税法は必須科目ではなく、ここで相続税法をスルーしてしまうと、基本概念が身につかない。相続税が苦手な税理士が出てきてもおかしくないのである。


3.大学院組

大学院で資格取得に必要な科目を履修し、単位を取ることで税理士になる方法である。ここでも、すべての税法に精通することは要求されない。つまり、相続税に詳しくない税理士になることもありうるのだ。