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(写真=JR西日本)

2015年3月14日、JR東日本 <9020> とJR西日本 <9021> が共同運行する北陸新幹線が開業し、東京から金沢までの所要時間が約2時間半と、大幅に短縮された。時間距離の短縮が利用者の心理的な距離感の縮小にもつながり北陸を訪れる観光客が増加している。

ここでいち早く観光客獲得に動き出したのが北陸の観光列車だ。中でも2015年10月3日に運行開始を予定している「花嫁のれん」は、金沢と能登半島・和倉温泉を結ぶ観光列車で、乗客はまるで旅館にいるような気分を味わえる豪華さである。その他の「ドラえもんトラム」など、北陸の特徴ある列車とともに魅力を紹介する。


加賀屋が極上のおもてなし。伝統工芸の美術館

まず、「花嫁のれん」は金沢—和倉温泉間を結ぶ2両編成の観光列車である。列車の外観は、能登の伝統工芸「輪島塗」をイメージした赤と黒をベースに、金沢の伝統工芸「加賀友禅」の柄や金色の模様がちりばめられている。まさに石川の「和と美」を表現したデザインだ。

内装にも特徴がある。まず、通常は数字とアルファベットで表示される座席番号が、「桜梅の間」というようにまるで旅館のように表示されている。通路には日本庭園の飛び石をイメージした絨毯が敷かれ、座席には石川県繊維協会の協力のもとに選定された友禅のオールドコレクションがあしらわれている。「にぎやかな旅を楽しむ」というコンセプトのイベントスペースには、大型スクリーンが設置されている。

この列車の最大の売りは列車内のサービス、「極上のおもてなし」だ。旅行新聞新社主催の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で1位を連続受賞し国内最高級旅館とも言われる和倉温泉の加賀屋が、列車内のサービスと料理を担っている。列車に乗りながら、加賀屋に宿泊したような気分を味わうことができるだろう。

ちなみに「花嫁のれん」とは、幕末から明治にかけて旧加賀藩地域(現・石川県、富山県西部)にみられる風習で、婚礼の際に花嫁の親が、嫁ぐ娘に持たせた色鮮やかなのれんのことである。「花嫁のれん」には娘の幸せを願う親心が込められているといい、その名を冠した絢爛豪華な観光列車は「幸せな旅」を演出してくれそうだ。

こんなに豪華な「花嫁のれん」だが、運行は1日2往復、定員52席。予約が殺到すれば乗れない可能性もある。そこで、北陸ですでに運行している別の観光列車も紹介しよう。