全国のコアCPIは15年度末までには再びプラスへ
15年9月の東京都区部のコアCPIは前年比▲0.2%となり、下落率は前月から0.1ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.2%、当社予想も▲0.2%)通りの結果であった。
電気代(8月:前年比▲8.6%→9月:同▲10.6%)、ガス代(8月:前年比▲10.5%→9月:同▲13.9%)、ガソリン(8月:前年比▲17.8%→9月:同▲20.1%)、灯油(8月:前年比▲17.0%→9月:同▲18.0%)の全てが前月よりも下落幅が拡大したため、エネルギー価格の下落率が8月の前年比▲10.7%から同▲13.1%へと拡大した。
一方、被服及び履物(8月:前年比▲0.3%→9月:同0.6%)が3ヵ月ぶりに上昇したこと、教養娯楽(8月:前年比1.3%→9月:同2.1%)、諸雑費(8月:前年比0.5%→9月:同0.9%)の上昇率が高まったことがコアCPIを押し上げた。東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が▲0.90%(8月:▲0.73%)、食料(生鮮食品を除く)が0.31%(8月:0.31%)、その他が0.39%(8月:0.33%)であった。
エネルギー価格の下落幅は今後さらに拡大することが見込まれるため、全国のコアCPI上昇率は当面マイナス圏で推移する可能性が高い。一方、かつてに比べて企業の値上げに対する抵抗感は小さくなっており、円安に伴う原材料価格の上昇に対応した価格転嫁はすでに幅広い品目で行われている。
コアCPI上昇率がマイナスに転じる中で、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(いわゆるコアコアCPI)が2月の前年比0.3%(消費税の影響を除く)から8月に同0.8%まで上昇幅が拡大していることは、エネルギー以外の物価上昇圧力の強さを示したものと言える。
現時点では、原油価格(ドバイ)が1バレル=50ドル程度まで戻ることを前提として、コアCPI上昇率は15年度末までには再びプラスに転じると予想している。
斎藤太郎
ニッセイ基礎研究所 経済研究部
経済調査室長
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