携帯通信大手3社の株価が揃って大幅安

9月14日、NTTドコモ <9437> の株価が前週末比で9.8%の2ケタに迫る下げ幅を示した。それだけではなく、携帯通信大手3社の株価が一斉に、大幅な下落を記録した。その後も、ソフトバンク <9984> 株が15日に、KDDI <9433> 株が16日に年初来安値を記録するなど、携帯通信大手の株価の低迷は止まっておらず、唐突な逆風にさらされている。

携帯通信大手株価の一斉下落を誘ったのは、安倍晋三首相の9月11日の発言だった。同日の経済財政諮問会議で「携帯通信料が家計支出に占める割合が拡大している上に、携帯通信事業者が3社体制で固定化し、競争原理が働いていないとの指摘がある」として、安値下げの方策の検討を倍首相が高市早苗総務大臣に指示。これをきっかけに、市場が敏感に反応したものだ。


家計の通信料金の高止まりを総務大臣も問題視

通信料金の家計負担軽減策検討の指示を受けた高市総務大臣は、データ料金の低価格コースが少ないことを問題視しているという。その中で、家計の通信料負担の引下げ方策を検討するための検討会設置が見込まれており、データ通信料に応じた料金プランの設定などが議論の対象になるものと見られている。携帯通信各社も独自で低価格化には取り組んでおり、NTTドコモは16日、従来よりも毎月の基本料金が1000円安いコースの受付を開始すると公表した。1月あたり、2700円だったところが1700円に下がるコースとなり、KDDIとソフトバンクが提供してきたコースと同等のプランを提供する格好だ。

もともと、携帯電話の通話料金の高さは総務省でも問題視されてきた経緯がある。総務省が昨年に公表した「我が国のモバイル市場における競争状況」では、「主要事業者・グループは3グループに集約し、その競争は新規の利用者を取り合い囲い込むだけの競争ばかりが激しく、また、協調的寡占の色彩が強い」と報告するなど、現在の携帯通信市場の競争のあり方が問題視されていた。

また、携帯通信大手3社への電波利用料負担が大幅に引き下げられたにもかかわらず、通話料の低下にはつながっていない点も、問題視されているという。

安倍首相や高市総務相らの一連の動きは、携帯通信の大手3社による寡占状態に対する問題を改めて提起するものだが、高市大臣は年内に結論を得るよう指示したことも明らかになっている。その携帯電話料金の引き下げ策として現実化の見込まれるのが「ホワイトスペース(未使用帯域の電波)」の活用だ。