smiling family with gifts at home
(写真=PIXTA)

生前贈与は相続税対策の基本といえる手法だが、その非課税枠の利用が適正とは認められず、後になって莫大な相続税が課せられることがある。生前贈与で注意すべき5つの点についてみていきたい。


①幼すぎる子どもへの贈与

生前贈与をする上で注意すべきなのが、贈与は契約であって、一方的に財産を移転することはできないということである。子を経由せず直接孫に財産を移転した方が課税回数が減るからと、祖父母から孫への贈与がなされることがあるが、契約である以上、孫が財産を受け取るという意思表示をする必要がある。つまり意思表示もできないような幼児に贈与することは原則としてできない。そのため、「孫への贈与は中学生になってから」などと言われる。

ただし親権者の同意があれば幼児でも贈与を受けることはできる。中学生まで待って祖父母が死亡してしまっては本末転倒なので、必要な場合には、きちんと親権者の同意を得た上で、契約書を作成しておくべきである。


②「毎年110万円贈与」が課税対象に

贈与税は110万円までは非課税 だからといって、この枠を利用して毎年贈与していると、税務署から定期贈与として否認されることがある。

定期贈与は、文字通り一定期間定期的に贈与をするものである。例えば、1100万円を贈与する契約をして、110万円を10年間に分けて贈与するというものである。この場合、1100万円に対して贈与税が発生する。一方、110万円を10年間贈与していった結果1100万円になったという場合には、非課税の範囲として課税されない。結果は一緒で、やっていることも同じなのに、これだけ大きな差が生じるのである。相続税対策として生前贈与を活用していることは、税務署も当然認識しており、彼らとしては役務上できるだけ非課税にはしたくない。だから、定期的にお金を贈与していると、それは初めから贈与意思があったとして、定期贈与と認定されるのである。

税務署からの指摘を回避するためには、①毎年契約書を作成する②贈与の金額を毎年同じにしない③全て110万円以内にせず、一定の贈与税を支払う④財産移転の事実の証拠として振込を活用する―—などの方法で、確実な証拠確保をする必要がある。