人手不足
(写真=PIXTA)


売り手市場の新卒採用

近年の日本経済は、これまでの経験からは予想できない動きをするようになった。例えば、景気が悪くなれば求人が減って失業者が増え、雇用問題が悪化するのが、普通の経済の動きだ。

しかし2012年の春頃から年末にかけて景気は悪化したが、失業率の低下傾向と有効求人倍率の上昇傾向が続き、雇用の面ではむしろ人手不足の様相を強めていった。

このような日本経済の反応には、人口構造が変わってきたことで引き起こされたと考えられるものがいくつかある。景気悪化でも失業者が増えたりしないのは、団塊の世代が65歳となって年金生活に入り、代わりに若い世代が働き始めたことで、働く世代の人口が急速に減っているからだ。

日本企業の伝統的な人員調整のやり方は、定年退職者に対してどれくらい新卒者を採用するかという比率を調整することだった。1990年代末頃からは日本企業も希望退職を募るなど、より機動的な雇用調整を行うようになったが、それでもいまだに定年退職と新卒採用は主要な調整方法だ。

バブル崩壊後に企業が過剰雇用に苦しむようになると、大学・高校の卒業者が就職先を見つけることが難しくなった。「就職氷河期」とまで言われたのはついこの間のことだったが、昨今の新卒採用は著しい売り手市場である。

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