日本のGDP(国内総生産)の7割超を占めているといわれるサービス業。拡大傾向にありながら、就業者一人あたりのGDPは減少傾向にある。また、サービス業の従事者も減少し続けており、その生産性、収益性を上げることが課題とされている。投資家としては、サービス業界が企業価値を高めるためにどのような取り組みを行っているか、気になるところでもある。


労働生産性の低い日本のサービス業

2013年の「中小企業白書」によると、日本のサービス業の中でも小売、卸、飲食・宿泊業の労働生産性は、アメリカの5~6割の水準であることが明らかにされている。また、国内の製造業との比較でも、小規模事業者、中規模企業、大企業ごとの集計で、それぞれ上位10%の企業は製造業を上回ったものの、中央値と下位10%の企業ではそれぞれ製造業を下回る結果となっている。

そうしたなか、関心を集めているのが、経済産業省とサービス産業生産性協議会が企画した「日本サービス大賞」だ。チップ制度が根づいている海外諸国と異なり、「おもてなし」といえば聞こえはよいが「サービスはタダ」「されて当たり前」という文化の日本で、どんなサービスがどのように評価されるのか注目される。


「日本サービス大賞」ってどんな賞?

「日本サービス大賞」の公式サイトでは、サービスを「提供者と受け手の間における価値創造、およびそれを生み出し提供するプロセス」と捉え、「優れたサービス」とは、「サービスの受け手の期待を超える経験価値を提供するサービス」と位置づけている。このような優れたサービスを創造し、消費者に届ける構造、プロセス、波及効果を総合して「優れたサービスをつくりとどけるしくみ」とし、それらの条件を満たした企業を選出する。

具体的には、「常識を覆すような」「そこまでやるか!という細部までこだわりを持っている」「忘れられない感動や喜びをもたらす物語性」「地域や社会の活性化に貢献」などのサービスが表彰対象という。また、直前の決算期の業績が黒字であることが望ましく、コンプライアンス遵守はもちろんのこと、今年7月現在提供していないサービス、1年以内に終了予定のサービスは審査の対象外となる。