(写真=PIXTA)
9月16日に、平成27年都道府県地価調査の結果が国土交通省より公表された。それによると、下落幅は縮小しているものの全国平均ではいまだ住宅地、商業地ともに地価の下落が続いている。
一方、東京・大阪・名古屋を中心とした三大都市圏では、商業地は上昇傾向に、住宅地も大阪圏は横ばいながら東京圏・名古屋圏では上昇が続いている。三大都市圏に限っていえば、約半数の地点が上昇しているのだ。
こうした上昇の背景には、日本銀行の金融緩和があるのはもちろん、円安やオリンピックに注目するアジアの富裕層の日本買いの動きがあるのである。
アジア富裕層の東京買いが続く
以前はおもに海外のファンドが日本の不動産を購入していた。それが最近ではアジアの富裕層による、特に東京を中心とした日本の不動産の購入が目立ってきている。東京で売りに出された中古マンションの中には、4割近くが外国人所有という物件さえでてきている。
これは、円安による恩恵も大きいだろう。外国人から見れば、円安は自国通貨高につながる。つまり円安により海外から見て日本の不動産は割安な状況となっているため、中国や台湾、香港を中心としたアジア富裕層が日本の不動産を買いに来ているのだ。
円安だけが理由ではない。2020年の東京オリンピックによる開発期待もある。特に、東京オリンピックの会場に近い湾岸地区や外国人にも人気のある赤坂や麻布など港区のマンションに対する購入意欲は強い。
最近ではマンションの他、分譲住宅を自分たちの居住用住宅として、また別荘として購入する動きもみられるようになってきた。さらに、数十億から数百億といった資金で、マンション一棟買いの要望もあるという。
富裕層だけではない。一般庶民までが日本の不動産を購入しているケースもでてきた。中古マンションであれば都内でも1000万円をきるケースは十分ある。そうした価格の手頃な物件にまで触手がのびてきている。
東京だけではない。最近では大阪や名古屋、福岡といった大都市へも触手がのびてきている。東京よりもまだ高めといえる地方大都市に利回りの良さから注目が集まるのは、むしろ当然のことだろう。特に再開発地域などは今後も買いが進むことだろう。爆買いは不動産にも浸透してきているのだ。
目的は値上がり益か?
ここで気になるのが一体何を主な目的として日本の不動産を購入しているのかという点だ。もっとも大きな目的はやはり値上がり益、つまりキャピタルゲイン狙いということだ。
昨年から比べれば都心では10%以上地価が上昇しているところもある。治安が良く、政治が安定し、しかも香港などと比べて地価が安く、投資利回りも高め。なんといっても不動産マーケットの規模が世界第二位。
彼らはこうした点に着目して値段が上がることを期待しているのだ。中には居住用として購入するケースもあるが、やはり大半は投資目的といってよいであろう。
中国経済が不安定となるいま、相対的に見て日本経済が好調にうつるであろう今、こうした動きはまだまだ続くことだろう。ただし、日本全体を購入しているわけではなく、あくまでも東京を中心とした大都市の一部だけが対象になっているのである。地価上昇もそのうちこうした地域だけに限られてくるかもしれない。(提供: Vortex online )
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