遂に「大筋合意」したTPP、日本経済は潤うか?

環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が「大筋合意」にたどり着いた。合計12カ国が参加したこともあり、各国の利害関係も複雑化。特にコメの輸入量や酪農製品の関税といった農業分野の利害衝突が厳しく、製薬やエンターテインメントなどの分野で重要な知的財産権の取り扱いでも難しい交渉を余儀なくされていたが、一つの大きなマイルストーンにようやくたどり着いた格好だ。

他方で、TPPから多大な恩恵を受けるとみられているのが、自動車メーカーや関連部品メーカーだ。協定発効となれば、自動車部品の99.9%の関税を撤廃することになるとみられており、経団連の榊原定征会長(東レ <3402> 相談役最高顧問)が「高く評価する」とのコメントを発表したほか、自動車メーカーの本田技研工業 <7267> の関係者もTPP大筋合意を歓迎する姿勢を示している。

その中で、TPPによる広範な関税撤廃からの恩恵を期待できるのが、自動車部品産業だ。多くの日系メーカーも利益を享受できるとみられるが、注目されていない企業もまだまだある。具体的には、以下のようなこれまであまり言及されてこなかったものがありそうだ。


まだまだ挙がる期待の自動車部品メーカー

その一つが、軸受メタル、燃料電池などを供給する大同メタル工業 <7245> で、昨夏にJPX日経インデックス400の登録銘柄から外されたものの、長年取り組んできた自動車部品の製造分野では今後とも強みを、まだまだ発揮していきそうだ。

同社の主要製品である軸受メタルは自動車のエンジンのピストンの動きを支える部材の一つであることから、TPPの効果で自動車メーカーが潤えば、良い波及効果を受けそうだ。

また、同製品は船舶エンジンにも使用されることから、造船業の動向にも左右される可能性がある。