(写真=PIXTA)

知らない人からしてみれば、とっつきにくいイメージの「落語」だが、年収の高いビジネスパーソンなどにはファンが多いという。雑誌『プレジデント』が調査した結果では年収1000万以上のビジネスパーソンの実に44%が落語好きと回答している。

渋沢栄一、高橋是清らもファンだった。

古くは夏目漱石や正岡子規、志賀直哉、谷崎潤一郎、芥川龍之介などの文人から、渋沢栄一や吉田茂、高橋是清といった歴史に名を残す実業家や政治家が大の落語ファンだったことも知られる。

落語好きとされる偉人の名前をみると、「落語がビジネスに役立つ」という一面があってもおかしくなさそうだ。「ビジネスパーソンは落語に親しんだほうがいい」と考える5つの理由について考えてみよう。

その1 トーク力が磨かれ笑いが取れる

話ベタで悩んでいるビジネスパーソンには、ぜひ落語をオススメしたい。落語では、話の展開や登場人物の心情を説明するために会話文が用いられる。熊さん・八っつぁんの軽妙な掛け合いからは、日常的な会話の進め方やかけ引きの手法などが学べる。取引先とのトークや職場でのスピーチの場で大いに活用することができそうだ。

特に重要なのは、「笑いをとること」のビジネス上の効用だ。会話に笑いのネタをうまく入れ込むことにより相手との関係をより近いものにしていることが分かる。

その2 プレゼン能力がつく

落語では感情の表現や行動・言動についての補足など、多くの場面で「仕草」が効果的に使われている。使うのは扇子と手ぬぐいだけで、あとは表情や身振り手振り、声の大きさやトーンで話を盛り上げる。これらを参考にすればコミュニケーション能力もアップするはずだ。

名人たちの話術を参考にすることで、オーディエンスの心をつかむコミュニケーションの技法も身につく。自然とプレゼンの説得力も増すだろう。

その3 論理的な構成力もつく

聞き流しているだけでは気づかないものだが、落語は「マクラ、本題、オチ」という組み立てから成り立っており、話の構成はきわめて論理的。

一見無駄にみえるような話の展開もすべてはオチにむけてつながる重要な役割を果たす。単なる雑談をして何の意味もない時間を過ごすということがないところにその秀逸さが存在する。

一流のビジネスパーソンはこうした落語の論理性をベースにした文章力の高さにも注目し、そのエッセンスを自らのビジネスに取り込もうとしていることが分かる。