(写真=PIXTA)
【知って得する!不動産を活かした生前の相続対策③】
現預金が多い人ほど、「現金で相続税が払えるから心配はない」と思っているかもしれません。確かに相続税がかかっても現金があれば払えることは間違いないのですが、下手をすると納税によって現預金がすべてなくなってしまうリスクもあります。これでは残念としかいいようがありません。
では、現金をどうすれば節税になり財産を残すことができるのでしょうか? その答えの一つとして「収益不動産を購入すること」が挙げられます。
3000万円以上節税した辻さん
収益不動産を購入し3000万円以上節税した辻さん(60代男性)の例をご紹介します。
辻さんは前年に父親が亡くなり、母親と辻さんの二人で財産を相続しました。そのときは配偶者の特例を活かして母親に全財産を相続してもらったので納税は不要となりました。けれどもこのままでは母親が亡くなったときにはいよいよ相続税を払わなくてはいけません。そこでどうしたらいいかと、父親の相続の手続きに合わせて依頼に来られました。
母親は父親から相続した財産の他に自分名義の預金もあり、まとまった預金(7500万円)を持っていることがわかりました。また、自宅は築40年以上で建て替えが必要な時期になっていました。母親も辻さんも大きな借り入れをしてまで節税対策をする決断はつかないということでしたので、手元にある現金を使って無理のない節税策を提案することにしました。
まずは現金を建物に変える
自宅は昭和40年代に建築されたもので、老朽化が進み、耐震性にも不安がありました。そこで、自宅の建て替えの提案をしました。借り入れをせず、母親の預金を使って建てるようにします。将来は辻さんが一人暮らしとなるため広い部屋はいらないということでしたので、賃貸住宅も併用することにしました。家賃が入ることで資金的な余裕も生まれます。
もとの自宅の評価額は200万円、自宅の建て替え費用は6000万円、新築した賃貸併用住宅の評価額は1920万円だったので、自宅の建て替えによって財産の評価額が4280万円減少したことになります。