賃貸併用住宅の土地の評価額はいくら?
自宅を賃貸併用住宅に建て替えたことで、土地の評価額はどのように変化するでしょうか。
まず自宅として居住する部分については、辻さんは母親と同居しているので「小規模宅地等の特例」を適用でき、評価額を80%減少させることが可能です。
次に賃貸部分(3分の2)については、「貸家建付地評価」ができるようになりました。「貸家建付地」とは、所有する土地のうち、他人に貸し付けている建物が建つ部分を示します。この土地の評価額は一定の割合で控除を受けることができます。「小規模宅地等の特例」ほどではありませんが、更地であるよりも大きく節税されます。
人に貸すと評価が下がる仕組み
なぜ賃貸物件の建つ土地の評価額が差し引かれるのでしょうか。「貸家建付地評価」の考え方は、賃貸物件が建つ土地は賃借人(借りている人)に一定の権利があるものと考えられるため、借りている人の権利分(=「借家権割合」)を差し引くというものです。
「貸家建付地評価」の特徴として、駐車場にも適用できる点が挙げられます。辻さんの場合、月極駐車場の一部を賃貸住宅用の駐車場としました。今まで減額の余地がなかった駐車場の一部に「貸家建付地評価」を適用することができるようになり、減額につながりました。
今回は居住用の宅地に適用できる評価減が1500万円、貸家建付地評価による評価減が2460万円だったので、土地の評価額は3960万円減少したことになります。
自宅の建て替えによる現金の減少に加え、月極駐車場の評価額減少などが加わり、結果として財産額は8240万円減少し、節税額は3142万円に上りました。辻さんの節税対策を図で表すと次のようになります。