(写真=PIXTA)
これからは「どこで」運用するかを意識しよう
投資をしている方であれば、アセット・アロケーション(資産配分)という言葉は聞いたことがあると思います。投資をするにあたって、株式や債券といった資産クラスにどの程度の割合で投資するお金を割り振るかを決めることです。そして、この配分が長期的なポートフォリオの運用成績を左右することは幅広く知られています。( 記事提供:投資家ネット『 ジャパニーズインベスター 』)
今後はそこに、「アセット・ロケーション」という視点を加えてほしいと思います。ロケーションというのは「場所」、つまり、運用する際に、どの口座に資産を振り向けるかを決めることをいいます。
投資においてコストはマイナスのリターンです。コストというと金融商品の「手数料」が思い浮かびますが、「税金」も立派なコストです。ですから、税制メリットの大きな場所(口座)で優先的に運用することを検討します。
以前はロケーション(場所)の選択肢は証券会社や銀行の課税口座(特定口座や一般口座)くらいしかありませんでした。けれど、2014年にはNISA(少額投資非課税制度)がスタートし、2001年から導入された確定拠出年金も対象者が拡大しつつあります。例えば、勤務先の企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)の加入者は約530万人(2015年6月末)。会社員の約6人にひとりが加入していることになります。
一方、個人型確定拠出年金(以下、個人型DC)に加入できるのは、いまは自営業などの第一号被保険者と、企業年金制度(確定給付企業年金、厚生年金基金、企業型DCなど)をもたない会社員に限定されています。しかし、確定拠出年金法が改正されると、公務員や専業主婦、企業年金制度のある会社員まで、ほぼ全ての国民が加入できるようになる見通しです。
後述しますが、個人型DCは税制上の優遇の大きい制度です。ところが、2015年6月末現在の加入者は約22万2000人と加入対象者の0・5%程度しか加入していません。これはもったいない話です。
期待リターンの高いものをDCに割り振る
確定拠出年金の特徴をまとめると以下のようになります。
・原則、60歳まで受け取れない →多くの人は長期運用になる
・運用益が非課税である(*1) →複利効果が期待できる
・投資信託にかかる手数料が低い →一般の証券会社や銀行で買うより有利
これをみると、おのずとDCの活用法がみえてきます。「運用益が非課税である」という特徴を活かして、老後に備えた運用をするなら、たとえば、手元にあるお金は定期預金などの元本確保型の商品に預けて、個人型DCでは投信を利用することが考えられます。長期的に高いリターンが期待できる商品で運用したほうが非課税枠を効率的に活用できるからです。
具体的には、長期的に高いリターンが期待できるのは株式ということになります。つまり、金融資産全体で資産配分を考えたら、株式部分をDCで運用するというのが合理的ということです。
ただ、DCについては個別の株式やETF(上場投信)を取り扱っていないため、株式に投資する投資信託を活用するということになります。なかでも、銀行や証券会社で販売されているものよりもコスト面で優位性の高い、先進国株式に投資をするインデックスファンドなどを活用してはいかがでしょうか。