Expensify——経費記録・支払いシステムに特化

Expensify(エクスペンシファイ)はあえてクラウド会計ソフトというIntuitと真正面からバッティングする領域ではなく、経費記録および支払いシステムというニッチな世界からシェアの拡大に乗り出している。

決済情報を登録すると、75ドル未満の出費内容を記載した「電子レシート」を作成し、75ドルを超えるものについてはメール、JPEGデータもしくはPDFファイルのレシートをインポートすることもできるようになっている。

すべてのレシートの登録を終えれば、ワンクリックで経費のカテゴリ(食事、交通費など)ごとに分類してレシートを添付して出費明細のグラフまでも添付した経費計算書をワンクリックで作成することができるのが魅力だ。

経費計算書にラベルを付けたり、コメントを書き込むこともでき、フリーランスのような存在のみならす、企業で働く人も清算に利用できるような仕組みを展開している。

freee 会計に独自フォーマットある日本での定番に

クラウド会計の世界では、日本でも急激な拡大を遂げようとしている企業がある。それがfreeeだ。同社はIntuitと同様にスモールビジネス向けのサービスを展開しているが、会計に関する独自のフォーマットやカルチャーを持つ日本企業向けに特化することで急激な拡大をはかりつつある。

今年8月には、シリコンバレーの大手ベンチャーキャピタルDCMベンチャーズ、リクルートホールディングス、ジャパン・コインベスト投資事業有限責任組合を割当先として、総額35億円の第三者割当増資を発表しており、潤沢な資金調達に成功していることが窺える。

freeeは、2013年3月に中小企業・個人事業主向けに、確定申告や会計、経理業務を自動化するクラウド会計ソフト freeeの運営を開始し、2015年8月段階では利用事業者数は38万を超えているという躍進ぶりだ。

また2014年5月より「クラウド給与計算ソフト freee」、2015年6月より「会社設立 freee」などの運営も開始しており、国内独自のイシューであるマイナンバー制度にもいち早く対応しようとしている。

こうしたクラウド会計サービスの領域では、各国にメインプレーヤーが存在するが、総じて言えることは、オンプレミスでインストールして利用してきた会計ソフトやERPなどと違い、短期間に一気に顧客がそうした市場からリプレースメントしてクラウド会計に切り替わってきていることだ。


徐々に顧客が増えるという世界とは異なる拡大が図られるところは非常に興味深いものがあり、もはやこうしたサービスは所有から利用へと顧客自身マインドセットが大きく変化していることが見えてくる。

国内ではスロースタートであるかのように見えるFinTechのクラウドサービスだが、今後一気に利用者を増やしてメジャープレーヤーにのし上がる企業の登場も時間の問題と思われる状況だ。 (ZUU online 編集部)