米国マーケット
(写真=PIXTA)

◆非農業部門雇用者数 10月 +27.1万人 市場予想 +18.5万人 前月 +13.7万人(下方修正)
失業率 10月 5.0% 市場予想 5.0% 前月 5.1%
平均時給(前年比)10月 +2.5% 市場予想 +2.3% マネックス証券予想 +19万人
U-6失業率 10月 9.8% 前月 10.0%
失業者に占める長期失業者の割合 10月 26.8% 前月 26.6%


圧巻の非農業部門雇用者数

6日に発表された米国雇用統計は、特に注目度の高かった非農業部門雇用者数や平均時給が市場予想を大幅に上回る好内容だった。

9月分が大きく落ち込んでいた非農業部門雇用者数は27.1万人と市場予想の18.5万人を大きく上回り、今年に入ってからの最高を記録した。9月分は+14.2万人→+13.7万人、8月分は+13.6万人→15.3万人とそれぞれ修正された。

失業率は市場予想通り前月の5.1%から5.0%に低下し、2008年4月以来7年半振りの低水準となった(グラフ参照)。マネックス証券では非農業部門雇用者数について市場予想を上回る19万人程度の増加を予想していたが、それを遥かに上回る結果だった。

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また、正社員としての勤務を希望していながらやむを得ずパートタイマーとして働いている人を失業者にカウントした、広義の失業率であるU-6失業率は、前月から0.2ポイント低下して9.8%となった。こちらも2008年4月以来の低水準である。


加速の兆しを見せた平均時給

さらに驚きだったのが、加速の兆しを見せた平均時給の伸びだ。同指標は将来のインフレ圧力となるため、高い注目を集めてきたが、これまで前年比2%~2.2%程度の伸びにとどまってきた。リーマン・ショック前は3%台の伸びを記録していただけに、同指標の伸びの鈍さは労働市場に"緩み"が残っている証左としてたびたび指摘されてきた。

ところが、10月の同指標は前年比2.5%と2009年7月以来約6年ぶりの高い伸びとなった(グラフ参照)。もちろん単月の伸びだけを見て判断するのは早計だが、労働市場の引き締まりを示す象徴的な指標となったことは事実だろう。

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失業者のなかで27週以上の長期間にわたって失業者でいつづけている失業者の割合が前月の26.6%から26.8%に増加するなど、細かく見ていけばすべての指標が改善したというわけではないが、こちらも改善基調が変わるほどの低調な数値だったわけではないし、利上げ実施にあたって大きな懸念材料になるほどのインパクトはないだろう。