12月利上げの可能性高まる

9月分の雇用統計が低調で、一時は年内利上げ期待が大きく後退したが、FRBの高官は12月の利上げ開始時がメインシナリオであることを繰り返し発言していた。

さらに、10月末に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文に「次回の会合で利上げを実施するか判断する」との文言が盛り込まれたことで、再び年内利上げ期待が高まった。そのタイミングで雇用統計が市場予想を大幅に上回る好内容となったことで、12月の利上げ実施可能性は大きく高まったと言える。

マーケットも利上げを本格的に織り込みにかかっているようだ。好調だった雇用統計を受け2年債利回りは大きく上昇し、2010年以来約5年ぶりの高水準となった。ドル円も大きく買われて、122円のレンジを突破して123円台をつけている。

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株式市場はダウ平均が上昇した一方S&P500は下落とまちまちで、今後の方向性を示唆するような値動きとはならなかったが、マーケットのセンチメントは強気に傾きつつある。S&P500指数は史上最高値更新まで30ポイントあまりまで迫っており、このまま高値更新という可能性もありそうだ。


用語解説

◆雇用統計(米国)

米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

益嶋 裕
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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