健康経営銘柄
(写真=PIXTA)

世界的に見ても長時間労働で有給消化の少ない日本の労働環境では、従業員の過労死やメンタルヘルスが社会問題としてたびたび取り上げられ、過重労働を課す会社はブラック企業として市場から厳しい目にさらされる。また、就職活動をする学生がこのような企業を敬遠し、人材が確保できず企業活動に支障をきたす場合もある。

そうした中、従業員などの健康管理を経営的な視点で捉え、従業員の活力向上や生産性の向上などで組織を活性化し、中長期的な業績・企業価値の向上を実現している会社を「健康経営銘柄」として、経済産業省と東京証券取引所が認定する制度が注目を集めている。


上場企業対象に業種ごとに1社

健康経営銘柄は、アベノミクスの第3の矢の日本再興戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に対する取り組みの1つとしてスタートした。対象となるのは、東京証券取引所に上場している会社の中で、業種区分毎に1区分で1社を選定する仕組み。

選定に当たっては、従業員の健康に関する取り組みについての調査として「健康経営度調査」を実施。100問に及ぶ質問の調査票を上場企業に送付し、回答した企業を①経営理念・方針②組織・体制③制度・施策実行④評価・改善⑤法令遵守・リスクマネジメントの5つの観点でスコアリングをした。

その上で、アンケート調査の総合評価の順位が上位20%以内、過去3年間のROEが業種平均を上回っていること、重大な法令違反がないことを基準として、各業種別の上位企業のうち、財政面でのパフォーマンスがよい企業を選んだ。