Airbnb
(写真=Thinkstock/Getty Images)

storie編集部ではAirBnB 日本支社に対し、中国から母親とともに観光で日本を訪れていた4歳の女児が、7月22日の夜に宿泊していた12階のマンションの部屋から転落して亡くなったという痛ましい事故について、AirBnBを利用中の宿泊客に起きたものか問い合わせしているが、まだ回答は得られていない。(提供: storie2015年11月10日掲載

今回、Airbnbを使って宿泊させていたゲストによってトラブルや事故が起きた場合のゲストやホストの責任について、星野法律事務所の星野宏明弁護士に質問をし、回答をいただいた。(以下、当編集部と星野宏明弁護士とのQ&A)

storie: 賃貸の物件を借りている入居者が、オーナーや管理会社に許可なくAirbnbのホストになり、ゲストがその部屋で、
・部屋を破損する、または汚す。
・夜間に騒ぐなど近隣の居住者の迷惑をする行為を行う。
・不注意で火事を起こす。
・部屋または建物の敷地内で傷害事件を起こす。
・事故または自殺などで死者が出る。
といったことがあった場合、許可なくホストとなった入居者は、どのような法的責任を負うことになるでしょうか?

A. ホストの責任としては、物件所有者に対する責任と第三者に対する責任の双方が考えられます。

部屋を汚損する、汚すといった行為は、賃貸借契約終了による物件明渡時の原状回復の問題となり、敷金で充当できない部分は、別途原状回復費用として所有者に賠償する義務があります。

夜間に騒ぐなど近隣の居住者の迷惑をする行為は、ホストの履行補助者として、ホスト自身の行為と同視でき、管理規約違反として、賃貸借契約違反により、解除事由となる場合があります

失火については、若干、法律関係が複雑です。ホストの責任については、たとえゲストの軽過失による失火であっても、履行補助者としてホスト自身の過失と同視でき、債務不履行による賠償責任が発生します。

他方、ゲストは、物件所有者と契約関係がないため、失火責任法により、重過失による失火でない限り、火災による不法行為責任には問われません。

殺傷・傷害事件は、原則として、ホストの刑事責任、民事責任のみが問題となりますが、例外的に、契約違反のAirbnbによりホストに部屋を貸した行為と、殺人事件による物件資産価値低下の間の因果関係が立証できれば、ホスト自身が責任を負う可能性もあります。自殺者が出た場合も、殺傷・傷害事件の場合と考え方は同様です。

storie: 前の質問で、物件の所有者自身がAirbnbのホストになっていた場合は、どう違ってくるでしょうか?

A. 物件所有者が、第三者を(無償であれば)宿泊させること自体は禁止されていませんので、所有者の責任が問題となるのは、専ら第三者に損害を与えた場合となります。

例えば、失火については、区分所有であれば、他の区分所有者との間に契約関係はありませんので、債務不履行責任は問題とならず、失火責任法により、ゲストの重過失がホスト(オーナー)自身の重過失であると同視できる特殊な事情がない限り、区分所有者の責任はないでしょう。

ゲストが自殺や傷害事件を起こした場合も、基本的には、区分所有者がゲストを宿泊させた行為と、他の区分所有者の資産価値低下の間に因果関係がないため、ホストの責任はないと考えられます。

storie: 賃貸契約の場合、Airbnbのホストになるような利用(転貸)を、禁じていると考えるべきでしょうか?それとも借主が、Airbnbのホストとなるような想定をしていなかったとして(転貸の禁止には含まれず)契約に不備があるというリスクはあるでしょうか?

A. そもそもAirbnbのホストとして賃貸の部屋を貸すことは、旅館業法違反である可能性が高い法令違反行為であることからすれば、通常の賃貸借契約において明記されていなくても当然に禁止されているものと解釈することができます。

また、継続的にAirbnbのホストとなっている場合には、明文で禁止されている無断転貸に該当するといえるでしょう。物件所有者の許可がない場合には、無断転貸により、賃貸借契約の解除事由となりえます。

storie: 物件の所有者(や管理者)に対して、許可なく、内緒でAirbnbのホストとなる入居者がいた場合、その入居者がホストになってゲストが起こした(Q.1のような)問題行動によって、第三者に与えた損害に対し、物件の所有者が(入居者の)監督責任を問われるようなことはあるのでしょうか?

A. そもそも、旅館業法違反であるAirbnbのホストとなる行為は、賃貸借契約で禁止されており、入居者がホストになってゲストが起こした問題行動によって、第三者に損害を与えても、物件の所有者が監督責任を問われることはまずありません。物件所有者には何ら過失が認められないからです。

storie: Airbnbは、ホストへの補償として、最大1億円補償をうたっています。ホストが違法性を問われた場合、対象外となる可能性や、ゲストがホスト以外の第三者与えた損害に対しては、補償対象とならないという可能性はありますでしょうか。

A. ホストが被った損害を対象とする補償である場合、ゲストが第三者に与えた損害については、補償対象外となる可能性が高いでしょう。

星野 宏明弁護士
大手法律事務所勤務を経て、東京都港区で星野法律事務所開業(共同パートナー)。企業顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中国法務、外国関連企業、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件、国際案件等が専門。中国語による業務可能。

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