相手の立場に立てばマナーの正解は見える

「相手の立場に立って考える」ことがビジネスマナーの基本だとすれば、こういうケースはいかがでしょう。

終業時刻間際に取引先に資料を届ける用事を頼まれた若い社員が、出かけたまま会社へ連絡もなく「直帰」した――。

本人の言い分としては、資料を届けるという用件はきちんと果たしたわけですし、定時の終業時刻も過ぎているのだから、帰るのは当たり前ということなのでしょう。だから連絡しないことに特に違和感はないということなのでしょう。悪気はないようです。

しかし、用事を頼んだ上司としては、書類が無事に届いたかどうか確認できないまま。部下が帰社するのかどうかも把握できません。

相手の立場に立ってちょっと考えてみれば、自ずとビジネスマナーとしての善し悪しははっきりするのです。

マナーは法律や規則とは意味合いが異なります。

ビジネス上のさまざまなマナーに関して、時代の流れも相まって時に賛否が分かれることもあります。

ですから、「昔はこれでよかった」というやり方が、今では通じないことはあり得ますし、またその逆もしかりです。昔は許されていなかったことであっても、時代の変化で常識になっていることもありますから、頑なに昔からのやり方に固執し過ぎるのも疑問です。

「相手の立場に立って考える」という基本を忘れなければ、いつの時代も相手に不快な思いをさせず、円滑なコミュニケーションが図れるはずです。

専門家:西出ひろ子(にしで・ひろこ)
マナーコンサルタント・美道家。相手を思いやる心を重視するマナー論と独自の指導法を展開。NHK大河ドラマ『龍馬伝』や映画『るろうに剣心 伝説の最期編』などドラマや映画のマナー指導も務める。著書は売り上げ27万部の『お仕事のマナーとコツ』(学研)、『ビジネスマナー虎の巻』(共に河出書房新社)など多数。

(記事提供: BUSINESS NOMAD JOURNAL

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