故スティーブ・ジョブス氏が「Appleの歴史家」と称えた世界的ベンチャー・キャピタリスト、マイケル・モリッツ氏は、投資家達がスタートアップを必要以上に持ちあげる最近の傾向に眉を寄せている。「本物選び」に関しては相当厳しい慧眼を持っているようだ。
「成功しているスタートアップの大半はバブルだ」
モリッツ氏が率いる米セコイア・キャピタルは、1兆5000億ドル(約183兆7178億円)の資産を運用する世界最大のプライベート・ファームだ。Google、PayPal、Yahoo やLinkedInを発掘したモリッツ氏の「未来の大企業」を見極める能力に、世界中の投資家が一目以上のモノを置いているのも当然だろう。
2013年に投資したSquare、WhatsAppを始めとする9つの企業が、翌年米経済雑誌フォーブスの「最も成功したベンチャー企業」に選ばれるなど、快挙につぐ快挙を成し遂げている。
こうした背景からスタートアップの発掘に熱心なモリッツ氏の姿勢が伺われるが、「発掘作業」はあくまで投資ビジネスの一環であり、シリコンバレーやユニコーンといった名称に踊らされる様子は一切見られない。
モリッツ氏にとって企業価値10億ドル(約1224億7850万円)以上のスタートアップの多くは、「サブプライム」であり、「米国のゼロ金利政策が生み落とした雑魚としか思えない」という。