(写真=PIXTA)
◆中国では15年7-9月期の国内総生産(GDP)が発表された。経済成長率は実質で前年同期比6.9%増と4-6月期の同7.0%増を0.1ポイント下回った(下左図)。産業別の内訳を見ると、第1次産業と第3次産業は健闘したものの、第2次産業が不振だった。なお、第2次産業の名目成長率は4-6月期の同1.6%増から同0.2%増へ1.4ポイントも低下した。
◆一方、需要別の内訳を見ると(15年1-9月期)、最終消費が4.0ポイントのプラス寄与、総資本形成が3.0ポイントのプラス寄与、純輸出が0.1ポイントのマイナス寄与となった。最終消費は昨年通期の3.8ポイントよりも0.2ポイント上昇するなど堅調だったが、総資本形成は昨年通期の3.4ポイントよりも0.4ポイント低下するなど不振が続いている。
◆物価面を見ると、消費者物価は1%台の低位で安定しているが、工業製品は下落傾向が続いている。そして、景気低迷、消費者物価の落ち着き、工業製品の下落を受けて、中国人民銀行は金融を緩和方向へ調整している。また、為替レートを見ると、ここもと1米ドル=6.3~6.4元のボックス圏で推移しているが、米利上げが視野に入ってくる中で、人民元の地合いは弱い。
◆経済見通しは15年が前年比7.0%増、16年が同6.7%増、17年が同6.5%増と、緩やかな成長率の鈍化を予想している。需要項目別に見ると、最終消費は3ポイント台後半のプラス寄与、総資本形成は製造業・不動産業では鈍化傾向が続くものの、消費サービス関連・インフラ関連
は堅調で3ポイント前後のプラス寄与、純輸出はゼロ近辺と想定している(下右図)。
◆下方リスクとしては住宅市場の変調が挙げられる。10月の住宅価格を見ると、下落した都市が増えてきており、期待されていた住宅市場の好循環が実現する可能性は低下したと思われる。