需要別の動向

◆GDPの内訳

一方、需要別の内訳を見ると、年初からの累計(=1-9月期)で、最終消費が4.0ポイントのプラス寄与、総資本形成が3.0ポイントのプラス寄与、純輸出が0.1ポイントのマイナス寄与となっている。

最終消費は昨年通期の3.8ポイントよりも0.2ポイント上昇するなど堅調だったが、総資本形成は昨年通期の3.4ポイントよりも0.4ポイント低下するなど不振が続いている。また、純輸出についてはここ数年ほぼゼロ近辺の寄与度が続いている(図表-5)。

中国経済見通し4

◆個人消費の動向

個人消費の代表指標である小売売上高の足元の動きを見ると、10月は前年同月比11.0%増と9月の同10.9%増を0.1ポイント上回った。また、価格要因を除いた実質で見ても同11.0%増と9月の同10.8%増を0.2ポイント上回った(図表-6)。

内訳を見ると(一定規模以上)、自動車は昨年通期の前年同期比7.7%増から今年1-10月期は同4.5%増へ鈍化したものの、家電類や家具類などは住宅販売の回復を受けて伸びが回復、飲食も昨年通期の同2.2%増から今年1-10月期は同7.2%増に回復している。

ここもと住宅販売はやや伸び悩み気味だが、自動車販売は10月に再開された小型車減税(排気量1.6L以下)が支援材料となりそうで、飲食も腐敗汚職撲滅運動が始まった13年には贅沢の象徴とされた高級飲食が大きく落ち込んだが、大衆飲食にシフトしたこともあって、その影響は徐々に薄れてきている。

今後も中国政府は最低賃金の引き上げなどを通じて輸出・投資主導から消費主導への転換を推進する方針で、所得の堅調な伸びに支えられて消費は堅調に推移すると予想している。

今年1-9月期の全国住民(都市と農村)一人あたり可処分所得は価格要因を除いた実質で前年同期比7.7%増と、実質成長率の同6.9%増を0.8ポイント上回るなど所得は堅調な伸びを示している(図表-7)。

中国経済見通し5