物価、金融、為替

◆消費者物価は低位、工業製品は大幅下落

消費者物価は落ち着いている。今年1-10月期は前年同期比1.4%上昇と、昨年通期の同2.0%上昇より0.6ポイント低下し、今年の抑制目標(3.0%前後)を大きく下回っている。

一方、工業製品は下落傾向が続いている。今年1-10月期の生産者価格(工場出荷)は前年同期比5.1%下落と、昨年通期の同1.9%下落を3.2ポイント下回る大幅下落となった。原油安や工業製品の供給過剰が背景にある(図表-11)。

中国経済見通し8

◆金融は緩和方向への調整を継続中

景気低迷、消費者物価の落ち着き、工業製品の下落を受けて、中国人民銀行は金融を緩和方向へ調整している。昨年11月以降6回に渡って預金基準金利(1年)を引き下げ、引き下げ幅は累計で1.5%に達した。また、預金準備率も今年2月以降4回に渡って引き下げている。

しかし、海外への資金流出もあって銀行間での資金需給は必ずしも潤沢にはなっていない模様で、SHIBOR翌日物は預金基準金利(1年)を上回る1.8%前後で高止まりしている(図表-12)。

中国経済見通し9

◆人民元はボックス圏ながら弱含みの動き

中国人民銀行は8月11日、人民元の対米国ドル為替レートの中間値(基準値)の市場化と基準性を高めるため、中間値の形成メカニズムを改善すると発表した。この措置により、市場実勢と基準値の乖離は解消したが、人民元は急落した(基準値で約4.5%、市場実勢で約3%下落)。

その後、1米ドル=6.3~6.4元のボックス圏で推移しているが、米利上げが視野に入ってくる中で、オフショア市場(CNH)では、オンショア市場(CNY)よりもほぼ恒常的に元安水準で取引されており、人民元の地合いは弱い(図表-13)。

元買いドル売り介入(含む警戒感)で水準を維持しているに過ぎない状況と思われる。

中国経済見通し10