◆投資の動向
投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)の動きを見ると、今年1-10月期は前年同期比10.2%増と昨年通期の同15.7%増を5.5ポイントも下回った(図表-8)。
内訳を見ると、製造業が昨年通期の前年同期比13.5%増から今年1-10月期には同8.3%増へ低下、不動産業が昨年通期の同11.1%増から今年1-10月期には同3.4%増へ低下したのが目立つ。その他の分野でも伸びは低下しているが、インフラ関連や消費サービス関連では2桁の高い伸びを維持している(図表-9)。
製造業に関しては、輸出の落ち込みや先行き不安で投資の回復は期待できそうにない(図表-10)。
「中国製造2025」(*1)に関連する領域では積極的な投資もでてきてはいるが、過剰生産設備を抱える分野などでは、安価で豊富な労働力を求めて後発新興国へ工場を移転する中国企業が増えている。
不動産業に関しては、沿海部の巨大都市では住宅販売が持ち直して住宅価格も底打ちしたが、地方都市では依然として低迷から脱却できないでいる。但し、新型都市化に伴って巨大都市と中小都市を結ぶ交通物流網が整備されるに連れて、不動産に対する新たな需要(商業不動産、オフィス、物流不動産、レジャー観光、高齢者向け住宅など)が生み出されるため一定の伸びは期待できる。
消費サービス関連に関しては、堅調な消費を背景に関連投資も高い伸びを維持するだろう。所得水準上昇が追い風となる文化・体育・娯楽業や教育、それに自由化が進む金融業などに期待できる。
インフラ関連に関しては、製造業や不動産業の投資が落ち込めば、景気テコ入れ策として長期計画を前倒しで執行すると予想している。大気汚染対策、水質汚染対策、土壌汚染対策、ごみ処理能力増強など環境関連のインフラ需要や、中国共産党・政府が14年3月に発表した「新型都市化計画(2014~2020年)(*2)」に伴う交通物流関連のインフラ需要は依然として大きい。