生命保険商品の状況-貯蓄・投資型商品が主力-

インドは貯蓄志向の高い文化を有しているとされている。現在は、ノン・リンク保険の伝統的商品では、養老保険タイプが主力商品となっている。加えて、定期保険やマネー・バック・タイプ(定期的に定額を支払う生存給付金タイプ)の保険が提供されている。

終身保険については、LICのWebサイトからの情報によれば、基本的には「被保険者の死亡時」に保険金額と配当金を支払うものであるが、昨今の長寿化を考慮して、「80歳又は契約後40年間のいずれか遅い時点」で、保険金額と配当金を支払う方式に変更した、としている。なお、保険料は「80歳又は契約後35年間のいずれか遅い時期」まで、支払うこととしている。ただし、LICは、現在は終身保険を提供していない。

民間保険会社を中心に提供されているユニット・リンク保険は、保険料の一部が保障のための保険料に充当され、残りは様々なファンドに投資される。

なお、2013年の商品ガイドラインの改訂以降は、多くの会社の商品開発において、リンク保険からノン・リンク保険の伝統的商品へのシフトが見られた。以上に加えて、年金(Annuity、Pension)や(参考1)商品の状況で説明する医療保険も提供されている。


生命保険販売チャネルの状況-個人保険はエージェント、団体保険は直接販売中心-

販売チャネルの状況は、個人保険と団体保険、LICと民間保険会社の間で、大きく異なっている。

2013年の新契約保険料ベースでは、個人保険では、民間の場合、個人エージェントと銀行による販売がともに4割程度を占めて、メインとなっている。一方で、LICでは殆どが個人エージェントによるものである。

なお、個人保険の民間における銀行による販売のシェアは、2009年には24.9%であったが、その後毎年シェアを高めてきている。団体保険では、民間もLICの場合も、直接販売がメインであるが、民間では銀行も2割弱程度の構成比となっている。

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生命保険会社の資産運用の状況-中央や州の政府発行・保証の有価証券のウェイトが高い-

保険会社の総資産は2,097,275croreルピー(約37.7兆円)で、そのうちの93%の1,957,466croreルピー(約36.2兆円)が生命保険会社の総資産である。生命保険会社の総資産のうち、16.9%にあたる331,661croreルピー(約6.1兆円)がユニット・リンクファンドである。

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残りの1,625,804croreルピー(約30.1兆円)が伝統的商品に対する資産であり、その構成比は右図の通りである。中央政府や州政府等の有価証券が6割弱を占めている(*10)。

なお、この資産を商品ファンド別に見てみると、以下の表の通りとなっている。商品構成を反映して、民間保険会社におけるユニット・リンクファンドの構成比が高くなっている。

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