物流施設
(写真=PIXTA)

◆日本での物流施設の投資運用は、2000年代に入り米国リートの物流専門会社が参入したのに始まり、Jリート物流銘柄の増加とともに主要な投資対象セクターとして認知されるようになった。2012年以降は、eコマース拡大などを背景に物流施設の需要は高水準が続いている。

日本での物流施設の投資運用は、2000年代に入り、米国でリートとして上場する物流開発・運用専門会社が国内に進出し、近代的物流施設を開発したことに始まる。

近代的物流施設とは、従来の一般的な保管型倉庫と比べると大型で、施設内での作業などにも配慮し、耐震性能・環境性能の高い施設で、米国では先んじて機関投資家や上場リートの投資対象となってきた。

日本でも2005年に、物流特化型のリートが初めて上場し、2012年から13年にかけて物流特化型、商業施設などと物流施設を組み合わせた複合型のリートがそれぞれ2銘柄ずつ上場した。これにより国内上場リートの取得物件に占める物流施設の割合が高まり(図表1)、主要な投資セクターとして確立した状況となっている。

Jリート1

物流施設を対象とした上場リートの増加とともに物流施設の期待利回りは低下してきている。この間、国内不動産全般に対して投資資金の流入が増えていることから、利回りの低下は物流施設に特有のものではないが、オフィスの期待利回りとの差は縮小してきた(図表2)(i)。

こうした利回りスプレッドの縮小は、取引量が増えるとともに上場リートの運用資産となることで、関連データが蓄積されたことによるリスクプレミアム縮小の影響もある。さらに物流施設のテナント需要が継続して高いという見通しが投資資金を呼び込み、期待利回りの低下につながっている。その根拠となっているのが、以下3つの要因だ。

①企業物流ではより戦略性が求められ、それに適合した新たな施設へのニーズ
②主要幹線道路の開通による物流拠点エリアの再編・増加
③eコマースの拡大