悪質ブリーダー撲滅に環境庁が本腰を入れる

そうしたなか、今年10月に環境省は子犬をペットとして販売するブリーダーやペットショップに対し、親犬の繁殖回数を制限するルールの策定に取り組む方針を固めた。

2013年からはペットショップ等での夜間の店頭展示・販売は法律で禁止されているが、さらに新たなペット販売規制の方向を議論するため、年内にも有識者による検討会議が開かれる予定である。環境庁では、過度の出産負担や劣悪な環境での飼育を強いる悪質ブリーダーを排除し、動物愛護法に基づいた出産回数の制限や1頭当たりのケージの広さなど、具体的な飼育環境指針を設ける予定だ。

現在のところ、ペット取扱業者に対しては「動物が自然な姿勢で立ち上がるなど十分な空間」「職員数を踏まえ必要に応じ繁殖を制限」といったあいまいな指導にとどまっている。明確な法規制や基準が存在しないために、動物虐待を行う悪質ブリーダーの摘発が難しい状態であったとも指摘される。自治体も、業者の監督指導のための明確な基準の策定を環境庁に対して求めている。

ペットビジネス市場の健全成長のために

他の先進国の状況をみてみると、ドイツでは飼育ケージの大きさの基準として犬の体長の2倍以上かつ2メートル以上、床面積は犬の体高によって規定されている。イギリスでは、ペットショップの開業は認可制となっており、ペットの店頭陳列販売が規制されている。ペットを飼いたいという人は、直接ブリーダーに出向かなければならない。これは、安易にペットを衝動買いするケースを防ぐためのものであり、飼い主としての責任と自覚を負わせるシステムといえるであろう。

今後、少子高齢化により、ペットの数は増え、ペットビジネスもそれに伴って拡大を続けていくことが考えられる。癒しを与えてくれる天使のようなペット達の尊い命を守るためにも、これらの諸外国の成功例を手本にし、悪徳ブリーダー撲滅のためにも、我が国での健全なペット生体販売の指針の策定が一日でも早く待たれる。(ZUU online 編集部)