「消費者の安心確保」へ向けた今後の取り組み
国土交通省は8月に行った平成28年度予算概算要求において「中古住宅取引に係る消費者の安心確保のための取引ルールの検討」として、これまでの取組みを更に進めるたに前年比1.75倍の費用を計上している。
具体的な取組みの内容としては、「消費者は、品質に対する不安から中古住宅の購入を躊躇する傾向にあるため、インスペクション(建物検査)や対象物件の情報開示等、売主と買主の間の情報の非対称性を解消するような標準的な中古住宅取引ルールを検討し、市場への定着を推進することにより、中古住宅市場の活性化を図る」とし、「標準媒介契約約款」の改正や、「標準売買契約書」の整備も検討する。
概算要求の段階であるため、実現が約束されてはいないものの、国土交通省が目指す方向性、及び宅建業者や関連事業者、そして消費者への普及への取組みを行っていくことは間違いないと言えるだろう。
今年5月に全面施行された空き家対策特別措置法による特定空き家の指定及び解体事例が報告されるなど今後はその数も更に増えていくことは間違いない。また、親から相続した空き家の売却に対する減税も検討されるなど、2016年は活用可能な中古住宅に対する流通の促進、そして活用の不可能な中古住宅の解体・除却という両面からの動きがその激しさを増すだろう。
土地の価格を我々がコントロールすることは難しいが、建物についての価格及び価値を上下させることは我々所有者次第。今一度、大切な財産たる建物という価値を見直す時期に来ているといえるだろう。
著者プロフィール:高橋正典
不動産コンサルタント。株式会社バイヤーズスタイル代表取締役。2000件以上の不動産売買に携わるなど、現場を最もよく知る不動産コンサルタント。NPO法人住宅再生推進機構専務理事、一般社団法人相続支援士協会理事。著書に「プロだけが知っている!中古住宅の魅せ方・売り方」朝日新聞出版、「実家の処分で困らないために今すぐ知っておきたいこと」かんき出版他
(記事: 週刊ビル経営 )(※本記事は週刊ビル経営12月14日号に掲載されたものです)
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