中古住宅取引市場,標準モデル策定

増大する空き家の活用そして流通に欠かすことのできないのが市場の透明性だといえる。

日本では、これまで中古住宅の取引が全取引の14.7%(平成25年住宅・土地統計調査による)程度と、例えば米国の同90.3%、英国の同71.1%と比較して著しく低い数字となっている原因として、今日の日本の不動産流通市場においては、消費者が安心して取引を行うための中古住宅取引のモデルが確立されていないという問題があった。

今回は、こうした消費者が安心して中古住宅取引を行うために国が取り組んでいる施策を取り上げ、来年に向けて整備が進むであろう新たな市場についてみていく。

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「建物評価手法の見直し」

日本においてはこれまで毎年約20兆円もの住宅関連投資を行ってきた。1969年以降のその累計額が2013年において約893兆円になるものの、同年における住宅資産額の合計は約350兆円にも満たない。その差が約550兆円にもなる計算だ。他方、米国はどうだろうか?各年の住宅投資額の総額よりもその年その年の住宅資産額の合計の方が毎年高い。

つまり、購入した価格にプラスして、投資したリフォームの金額も資産額として反映されているということになる。土地の価格は景気により変動するが、住宅の価格はそれには影響されにくい。

元々、住宅の価格に占める建物の割合が日本では3割から4割と低いのに対し、アメリカでは8割近くにもなるなど、不動産というものにおける建物の割合が違うという背景もあるだろうが、日本における住宅に関するカルチャーにも大きな問題がある。中古住宅の取引市場が活性化するためには、こうした建物への価値観も改善する必要があり、実際に国側の取り組みも始まっている。

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まず、これまでの日本は、新築したときが一番住宅の価値が高く、その後は一律減価していくという考えかたが主流だった。

例えば木造住宅では築後20年程度で価値がゼロだと判断されるなど、売却時において価格査定に反映されないのが一般的だった。また、本来新築する際の建物価格に占める割合の内、設備機器についても4割近くはあるといわれ、その部分については更新・交換することで価値がまた元に戻るということにもなる。

つまり、躯体部分は定期的なメンテナンスにより寿命が延び、設備機器は更新・交換することであらたな価値となるわけで、これらを繰り返した住宅は当然ながら経過年数以上の価値を有することとなり、正しく市場においても評価反映されるべきなのだ。