山手線

(写真=プレスリリースより)

11月30日に営業運転を始めた「山手線新型E235系」、トラブルが相次ぎ営業運転当日の夜に姿を消した。数週間経った現在でも姿を見ることはない。

一体、何が原因だったのだろうか。旧型との違いも見ながら検証しよう。

東京五輪までに切り替え目指す 旧型との6つの違い

現在山手線を走っている車両は「E231系」2002年から導入されたものだ。そこに13年ぶりの新車両となった「山手線新型E235型」が導入される流れとなった。2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでには全51編成のすべてがE235系に置き換わる予定とのことだが、運転初日にしてトラブル続き、運転を見直すこととなった。果たして大丈夫なのだろうか。

E235系のデザインコンセプトは次世代通勤電車「お客さま、社会とコミュニケーションする車両」とされている。現在のE231系とE235系の主な6つの違いを紹介する。

デジタルサイネージが増えた

E231系では乗降用ドア上に運行情報、ニュース、広告などが映し出されるデジタルサイネージが2画面、1両合計16面設置されている。新型車両では、乗降用ドア上だけでなく、荷棚上にも設置され情報発信量の大幅な増加による質の向上など期待されている。

当初はこのデジタルサイネージの数が増えたことで、中吊り広告の取り止めが検討されていたが、企業側の要請もあり引き続きコレまで通り継続されるようになったようだ。

ホームドア設置に対応したデザインの変化

前面は黒地にウグイス色のグラデーション。側面では従来の横方向のラインカラーから乗降ドアごとの縦ラインに。ドア全体がウグイス色となっている。これはホームドア設置に対応したもので乗客からも見えやすくするためだ。

抗菌が施されている吊り手の色もウグイス色に変わっている(優先席はオレンジ色)。床面には薄いグレーと濃いグレーのグラデーションが施されている。

外国人客増加を見越して着席幅を広く

現在のE231系の座席幅は1人当たり45センチ。E235系では1センチ広がり46センチとなっている。これは東京オリンピック・パラリンピックに向けて外国観光客の増加に対応するためとも言われている。背もたれも改良され座り心地もアップしている。背もたれや袖仕切りの半透明ガラスには格子柄が施され、暖かみを感じる色合いとなっている。

優先席・フリースペースも充実

現在のE231系の各車両片側の車端部にある優先席が、E235系では両端部へと増設されている。これは今後も進む高齢化社会に対応したもの。各号車3〜4席増席されている。

またこれまで1・11号車のみに設置されていた車イス・ベビーカースペースが全ての号車に整備された。2014年春からベビーカーを折りたたまなくても列車に乗れるようになった変化に続き、ベビーカーに対する配慮も深まっている。名前も「フリースペース」と改名され新たにスーツケースやキャリーバックなどの大きな手荷物も置けるようになった。吊り手の色は携帯電話の電源を切らなくてよいウグイス色となっている。

ただフリースペースの床の色ははっきりしたピンク色となっているが、床面には車いすマークとベビーカーマークの案内図記号のみとなっているため、実際大きな手荷物を持った人にとっては気が引けるかもしれない。

電気系統の強化

中央線などを走っているE233系ですでに採用されている主要な電気系統の二重化が、新型E235系にも採用された。主要な機器を二重化にしたことで、例え一方の機器が故障してももう一方が作動し、運転を継続できるようになっている。さらに故障の予兆を事前に把握、対処できるよう社内外のネットワークが強化されている。

海外の鉄道関係者にアピール?ステンレス車両「sustina」

総合車両製作所の作ったステンレス鋼の車両、量産第一号に選ばれたのがE235系。新たな製造方法である「sustina」により車体の軽量化、外観の向上、構体水密化の強化を目指したものとなっている。多くの人に目に留まる山手線に採用することで海外の鉄道関係者にもアピール、今後の「sustina」車両の受注を見込んでいるのかもしれない。