「カシオペア」廃止の本当の理由
北海道新幹線開業により、青函トンネルを含む約82キロが新幹線と在来線の共用走行区間となる。新幹線と貨物列車のトンネル共用は初めての試みという。
これによって変更される点が出てきた。現在使用している架線電圧は在来専用の2万ボルトだが、新幹線用の2万5000ボルトへ変更される。
実はこの架線電圧の変更により「カシオペア」「北斗星」などの従来の電気機関車は使用できなくなった。これが「カシオペア廃止」の本当の理由なのだ。2014年8月に北海道、青森県、岩手県が国土交通省とJR東日本に「カシオペア」「北斗星」の存続を要請したものの、結局廃止が決まった。
「カシオペア」「北斗星」の寝台特急は第3セクターの青い森鉄道(青森市)とIGRいわて銀河鉄道(盛岡市)の路線を通り、これが旅客収入の約2割を占めていた。廃止は両社の経営に影響を与える他、観光客減少は避けられないとしている。
今回の新幹線と貨物列車のトンネル共有により、新幹線のスピードに制限がかかった。新幹線が貨物列車とすれ違う時、貨物が荷崩れをしないように最高速度を140キロに落とすこととなる。これは特急列車並みのスピードだ。
この速度制限により、最速で4時間2分とされ飛行機より新幹線を選ぶ目安基準となる「4時間の壁」は超えられなかったようだ。ちなみに現在、羽田空港−函館空港を結ぶ飛行機は1日8往復、1時間20分〜30分で運行している。
本州と北海道を結ぶ寝台特急はなくなる
2015年8月に路線が終了した「北斗星」に続き、カシオぺアの廃止が決まり本州と北海道を結ぶ寝台特急はすべて姿を消すこととなる。姿を消すのは寝台特急だけではない。新青森−函館を結ぶ特急「スーパー白鳥」「白鳥」、青森−札幌を結ぶ急行「はまなす」も終了することが決定された。いずれも昭和63年3月に開業の青函トンネルを通過していた。
今後「カシオペア」は年数回だけ上野−札幌間を臨時運行する案もあるようだが、団体列車になる可能性もあり乗車できる可能性は低そうだ。また「TRAIN SUITE 四季島」がクルーズトレインとして引き継ぐという話も出ている。
各地の寝台特急も次々と姿消す
今回のカシオペアと北斗星の廃止だけでなく、日本の寝台特急は続々と姿を消している。現在残っているのは、東京−瀬戸・出雲を走る「サンライズ瀬戸・出雲」。
一方でJR九州の「ななつ星in九州」やJR 西日本が手掛ける2017年春に運行開始予定の「トワイライトエクスプレス瑞風」など豪華クルーズトレインが姿を現している。
LCCなども誕生し、移動にかかる時間と費用はぐんと短く安くなった。生まれるものがあれば、消えるものもある。技術が進化し効率を求めるのも良いが、これまで多くの人々に親しまれてきたものが消えることに寂しさを感じる人たちもいるだろう。 (ZUU online 編集部)