もうすぐ年の瀬。1年を振り返ると、年初にやる気満々で目標を設定したものの、あれよあれよという間に時間が過ぎ、当初計画していたことをほとんど実行できなかったという人もいるかもしれない。

来年こそはなんとか目標を達成したい。そう思う人のために、仕事のスピードを極限まで上げる方法を指南する 『ゼロ秒思考』 の著者、赤羽雄二氏(ブレークスルーパートナーズ マネージングディレクター)を訪ね、「ビジネスマンが効果的に1年を振り返る方法」を教えてもらった。

4つのテーマをひたすらメモ

赤羽氏がおススメするのは、下記の4つのテーマについて、思いつくことをA4用紙にひたすらメモしていくことである。

①1年で達成したこと
②できるようになったこと
③本当はもっとこうすればよかったと思うこと
④やれなくて残念だったこと

③と④は少し似通っているように思えるかもしれない。③と④の違いはズバリ「実行したか」「実行しなかったか」である。③は実行したけれど「もっとこうすればよかった」と思うこと、④は本当はやりたいと思っていたけれど実行できず「残念だった」と思うことである。

これらの4つのテーマについて、とにかく頭に浮かんできたことをメモ書きする。①〜④について合計、数十枚程度書くとよいという。

メモ書きの「書式」

ただし、メモ書きには効果的に思考を整理するための「書式」がある。

  • A4用紙を横向きに置いて使う
  • 1件の事柄につき、1ページを使う
  • 左上にタイトルを書き、下線を引く
  • タイトルの下に、4〜6行、各行20~30字思い浮かんだことを箇条書きする
  • 1ページを1分以内にサッと書く

A4ではなくB5を使ってみたり、用紙を縦置きにしてみたり、メモ帳を使ってみたりと、メモの様式を自分用にカスタマイズしたくなるかもしれないが、この上記の「書式」は赤羽氏の長年の実践により編み出されたものなので、そのまま踏襲した方が賢明であろう(なぜこの書式がメモ書きに最適なのかは著書『ゼロ秒思考』を参考にしてほしい)。

不思議と少しだけ前向きになれる

メモ書きのポイントは、考えるのではなく感じたこと、頭に思い浮かんだイメージ、感覚をとにかく書いていくことである。赤羽氏の著書『ゼロ秒思考』(ダイヤモンド社)には、思考と言葉の関係について次のように書かれている。

頭の中はもやもやしていることが多い。いろいろな言葉が浮かぶ。言葉にならない言葉が浮かんでは消える。それを頑張って言葉にしてみる。浮かんだ瞬間に言葉にしてみる。言葉にしてみると言っても頭で考えているだけだとふわふわしたままで明確にならないので、紙に書き出す。あれこれよからぬことが浮かんでも、かまわず書く。「かまわず」というのは、人の名前も、欲望も憎しみも悔しさも、全部そのまま書くという意味だ。なんとなく嫌な気持ちの時でも、頑張って書き出してみる。そうすると、全部吐き出した後、不思議と少しだけは前向きになれる。(『ゼロ秒思考』第1章「考える」ためのヒント、より)

これは実際にやってみるとすぐに分かる。はじめは何を書けばいいのか分からないのだが、とにかく思い浮かんだことをメモにしていくことを続けるとそのうちスピードが上がっていき、「不思議と前向きになれる」のである。

ZUU online編集部員が実際に①〜④をメモ書きしてみたところ30分で16枚のメモができた。1ページに2分かかっているので少々時間オーバーである。

書いていて新鮮だったのは、④の「やれなくて残念だったこと」が、メモを続けていくうちに「これはそもそもやらなくてもよかったのではないか」などと思えてきたりすることである。②の「できるようになったこと」が次々と浮かぶと自然とうれしくなってきたりもする。

③の「本当はもっとこうすればよかったと思うこと」については1件のメモができた。1年間ずっと心の中でモヤモヤしていたことだったのだが、「今さらどうしようもない」「次に似たようなケースがあればそのときは絶対に実行しよう」という気になり、無事「成仏」することができた。

コミュニケーションも円滑に

「メモ書き」をすることで、目標設定シートではできない発見があると赤羽氏は言う。思考が整理され、自分の行動をどう変えたらよいのか、何を達成できるのか発見できるという。そうすると自ずと来年になにをしたいのかが明確になる。赤羽氏は「これまでのんべんだらりと過ごしていた年末に、頭が整理され、不安やモヤモヤがなくなり、スッキリした頭で新年を迎えられるのではないか」と話す。

頭がスッキリするとコミュニケーションも円滑になり、仕事にも好影響があるそうだ。また赤羽氏は、こうした振り返りを機に、毎日10ページずつ「メモ書き」をすることもお勧めしている。

必要なのはA4の用紙(裏紙を推奨)とボールペンだけ。スッキリした気分で新年を迎えたい人は実践してみてはいかがだろう。(ZUU online 編集部)