(写真=PIXTA)
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どこか懐かしい「実質負担金0円」の宣伝文句。携帯端末の安さをアピールするため、大手3社NTTドコモ <9437> 、ソフトバンク <9984> 、KDDI <9433> が最近使っているキャッチコピーだ。

かつて世間をにぎわせた「1円携帯」と似た響きがあり、当時を知る人にとっては携帯端末の格安競争の再燃を感じさせる。当時の主役はフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)だったが、現在の主役はスマートフォン(スマホ)だ。

ヒートアップする割引合戦

総務省の「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」(有識者会議)の資料中でNTTドコモは、「スマートフォンは各社がほぼ同じ端末であるため、差異化要因が価格に集中し、端末販売競争が激化している」と述べている。

たしかに各社のラインアップに大差はない。特に米Appleの人気スマホiPhoneは携帯電話大手3社が一様に扱っており、異なるのは通信費を含めた価格だけだ。

一時は沈静化していた携帯端末の低価格競争だが、iPhoneの日本での発売をきっかけに復活したとの見方もできる。というのも、「Appleが携帯電話大手3社にAndroid端末よりも安い月額料金とすることを要求した」とのうわさがまことしやかにささやかれており、実際、携帯電話大手3社はAppleと交渉下にあったであろうそれぞれの時期、つまりiPhone販売開始の1年ほど前から、端末購入に伴う月額通信料金の割引を導入しているからだ。

そして現在、割引合戦は値引きやキャッシュバックなどの名目とともにヒートアップ。MVNOの参入もあって、ますます競争は激しくなるなかで、販売店や各社のオンラインショップには「実質負担金0円」の文字がおどっている。

ちなみに、英国の市場調査会社カウンター・ワールドパネルの発表によると、米国で3割程度のiPhone端末のシェアが日本では5割を超える。これほど普及しているのは世界的にみても日本だけだ。

これは「販売奨励金」を原資とした価格の安さが背景にあるといわれている。