自動車産業に限らず、その業界で権威ともいえる数々の賞の栄冠をかち得ることは、企業価値を高め、ブランドイメージを向上させるのに重要な意味を持つ。2014年から2015年初頭にかけてのVWはまさにそんな感じであった。

同社の象徴ともいえるVWゴルフは、日本で2014年に輸入車で初めてカー・オブ・ザ・イヤーを、続く2015年初めのデトロイトモーターショーでも「北米カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、世界中の自動車評論家から、その性能とパッケージングを高く評価されたクルマだった。しかし、そのようにして築き上げたブランドイメージを一瞬にして吹き飛ばしたのがVWショックだったといえる。

クルマの次世代技術で攻勢かける日本勢

VWショックは、同社のブランドイメージだけでなく、2015年の世界の自動車業界全体を揺るがすものとなった。VWは2014年の世界販売台数で1021万7003台を記録し、ライバルのトヨタの1016万8000台を抜いたが、今年は首位から転落するのは避けられない状況だ。景気の屋台骨ともいわれる自動車産業であるが、2016年以降の勢力図はどのように塗り変わるのだろうか。

自動車産業の発展を占うキーポイントとなるのが「次世代車」の開発動向である。VWの転落により、2016年以降の次世代代替エネルギーの覇権はトヨタ自動車を筆頭とした日本のメーカーに移る可能性が濃厚となってきたように見受けられる。事実、トヨタには新型プリウスに象徴されるように、世界に誇るハイブリッド技術があるうえ、CO2排出量がゼロの水素燃料電池車「MIRAI」も販売している。1日3台しか生産することができないMIRAIは、納車待ちの顧客でいっぱいだ。

また、ホンダが開発を進めるFCV(新型燃料電池自動車)の動向も見逃せない。同社は来年3月にもFCV技術を活かした「クラリティフューエルセル」をリース販売することを明らかにしている。FCVは水素を中心とした新技術によるCO2排出ゼロ社会の実現を目指したものであり、こうした同社の取り組みへの期待が高まることも考えられよう。2015年度末までに100ヶ所の設置を目標としてきた水素ステーションは現時点で80ヶ所ほどであり、補助金を含めた拡充に課題を残すところであるが、実用化に向けて着実な前進が期待されよう。

電気自動車では日産自動車 の「リーフ(LEAF)」やNV200バネットをベースにしたEV(電気自動車)「e-NV200」がある。日産はこの2車種を量産EVとして、さらなるグローバル展開を推進する構えだ。リーフは航続距離を228kmから280kmにまで伸ばし、3000ccのガソリン車に匹敵するほどまでに加速性能を向上させている。加えて、三菱自動車工業の「EV+ガソリン車」のいいとこ取りをしたプラグインハイブリッド車「アウトランダー」も注目される。

新たな次世代の潮流「自動運転」がもたらす未来像

さらに2016年以降の長期的な観点で、新たな潮流となる目玉はなんといっても「自動運転」だろう。日産自動車は「移動物検知」「自動ブレーキ」「踏み間違いアシスト」など分りやすい言葉で難解と思われがちな自動運転技術を解説するなど、広く社会に認知してもらえるような取り組みを行っている。また、トヨタは自動運転実験車の動画を公開することで、高速道路などでのジャンクションの合流や車線変更が難なくこなせるイメージを持たせることに成功している。

両社とも将来の理想的な自動運転のあり方と、現時点で持てる限りの技術を打ち出し、来るべき自動運転社会の未来像を私たちに示している。2016年は、日本勢の主導により自動車社会がより理想の未来像に近づく年になることを期待したい。(ZUU online 編集部)