長期と短期
〈投資〉と投機の目的が異なる以上、その運用のスタンスも大きく異なる事が多いです。多くの場合、一つの投資商品に関して〈投資〉は長期保有が多く、投機は短期保有が多いでしょう。勿論、インデックスファンドを長期保有するといったキャピタルゲインを目的とした投機を行う投資家も多いですし、特定の株主優待(インカムゲイン)狙って株式を短期保有する〈投資〉を行う投資家も多いでしょう。
とは言え、額面の規模で見ると、全体的な傾向としては「長期運用の〈投資〉」・「短期運用の投機」に分けられます。但し、この運用方針が主流である事と、最善であるかどうかは別の問題である事には注意せねばなりません。多くの投資ファンドの運用成績が市場平均を下回っているなど、規模としては大きい「短期運用の投機」が必ずしも高いパフォーマンスを実現するとは言えないという事です。
どちらを重視するかのスタンスを持つ必要性
「長期運用の〈投資〉」・「短期運用の投機」が利益を出す上でどの程度合理的であるかはさて置き、何を目的とするかというスタンスを持つ事は重要になります。長期的な配当を目的としているのに少し値上がりしただけで手放してしまう事は必ずしも良い結果を生むとは限りません。また、短期的な運用で利益をあげようとしているのに、値下がりした保有銘柄の損失を確定させずに保有してしまう事も合理的とは言えません。
これは、「 行動ファイナンス理論から見た投資に失敗しないための7つのチェックポイント【前編】 」でも指摘したように、前者は鏡映効果にも当たり、後者は気質効果(プライド効果)・現状維持バイアス・合同バイアスにも当たります。
どの投資スタイルが良いかは、方法によっても異なりますし、個人の目的や資産状況などにもより、その手法の試行錯誤は必要になると思われますが、投資スタンスが頻繁に変わる事はあまり良いとは言えないでしょう。
BY たけやん:経済学修士号を取得後、株価推定の事業・研究を行っている